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2019年6月の貴重書展示 「教科書ノスゝメ」

『小学読本』画像

教科書ノスゝメ
~江戸・明治の教科書~

江戸時代の日本は、庶民の識字率が世界一だったと言われるなど、世界最高の教育水準を誇る教育先進国でした。

その最たる要因は、全国に作られた藩校や寺子屋で、その数もさることながら教育の質も非常に高く、人格形成にも力を入れていました。藩校は武士のための教育機関で、主に儒学などの教養科目を学んでいました。寺子屋は庶民のための教育機関で、「読み・書き・そろばん」など実生活に即した学問が中心でした。儒学を学ぶ際には、四書五経など儒学の経典を暗誦する「素読」が主に行われていました。寺子屋では、手紙形式の「往来物」が教科書として使われていました。往来物の種類は出版技術の発達とともに爆発的に増加し、7000種にも及ぶと推測されています。このような江戸時代の教育水準の高さが、江戸文化の隆盛を支え、明治以降の日本の急成長を支えてきたのです。

今回の貴重書展示では、これら江戸・明治期に使われた教科書を紹介します。

展示期間・場所

期間 6月1日(土)~6月27日(木)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室 貴重書展示コーナー

展示資料一覧

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書名等 画像 略説
K179/69
『小学読本』
『小学読本』画像

文部省が編集した教科書で、明治初期に多くの小学校で使用されました。内容的には、江戸時代の往来物の流れをくんだ読本形式となっています。翻刻本が各府県で刊行されたため、当館のものは「静岡縣重刻」となっています。

419.1/ヨシ
『新編塵劫記』
『新編塵劫記』画像

吉田光由が中国の数学書を基に作成した数学書です。数や計算単位の説明に始まり、算盤による乗除法、米・綿・木綿の売買、利子の計算など、日常で使う計算のほか、算盤の練習問題等も記載しています。

K179/61
『実語教・童子教』
『実語教』画像

仏教及び儒教の経典より選択された格言集です。五字を一句とし、韻を踏んでおり、子どもが口に唱えて覚えやすくなっているため、永らく習字教本や教訓本として使用されていました。

K179/57
『庭訓往来』
『庭訓往来』画像

書状の書き方の模範文例集から、月毎に立てた主題に関する主要な語彙を列挙した例文集です。江戸時代後期の寺子屋最盛期には、庶民の家庭や寺子屋の教科書として普及し、多種多様に編集・出版されました。

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