2014年11月の貴重書展示
江戸の辞書(オランダ語)
鎖国の時代、日本が交流を持っていた西洋の国はオランダのみでした。では、なぜオランダだったのでしょうか?
17世紀初頭、イギリスはアジア貿易から撤退し、スペイン・ポルトガルは、宗教色の強さから幕府から拒絶されていました。オランダは宗教色が薄く、アジア貿易にも積極的だったため、幕府が交流を行うには非常に都合が良かったのです。
鎖国当初は、中国語を介してオランダ語の通訳や翻訳を行っていましたが、やがて、オランダ通詞と呼ばれる世襲の通訳が生まれました。18世紀に入り、享保の改革などから実学が奨励されると、蘭学の需要が一気に高まり、オランダ語辞書の編纂が行われるようになりました。
幕末になり、欧米人との交渉の機会が増えると、英語やロシア語の不得手な日本人は、彼らとの交渉に当初はオランダ語を用いていました。当館の葵文庫にオランダ語辞書が多いのもこのような理由かもしれません。
展示期間・場所
期間 11月1日(土)~11月28日(金)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室 貴重書展示コーナー
展示資料一覧
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