2014年7月の貴重書展示
血まみれ芳年
~月岡芳年~
月岡芳年は天保10(1839)年に生まれ、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師です。時代が変化し、浮世絵そのものが衰退していくなかで、ただ一人傑出した作品を世に輩出しました。
芳年の名を世に知らしめたのは、何といっても一連の無惨絵です。特に慶応3(1867)年に兄弟子の落合芳幾(おちあいよしいく)と競作で発表した『英名(えいめい)二十八(にじゅうはち)衆句(しゅうく)』は特に凄まじい残酷描写で、「血まみれ芳年」の二つ名で呼ばれるきっかけとなりました。これほどまでにリアリティのある残酷描写ができたのは、芳年自身が幕末維新の戦場を体験し、戦場の写生を行ったからだと言われています。
一般的に無惨絵の印象が強い芳年ですが、実は、芳年の作品全体に対する無惨絵の点数はそれほど多くありません。芳年は、武者絵、美人画などでも多くの傑作を世に送り、新聞や雑誌の挿絵も手掛けました。また、芳年の門人の多くは日本画家や西洋画家として活躍し、芥川龍之介や三島由紀夫などの文人にも愛されるなど、明治以降の文化に大きな影響を与えました。
展示期間・場所
期間 7月1日(火)~7月30日(水)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室 貴重書展示コーナー
(期間中、資料を入れ替えて展示します)
展示資料一覧
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