嘉永6(1853)年、浦賀に来航した黒船は、当時の日本人に大変大きな衝撃を与えました。鎖国政策により海外事情をほとんど知らない日本人にとって、海外との出会いは、今までの価値観を大きく変えるものでした。
当時の日本人の中には、諸外国と触れて、その後の日本を大きく変えた人物もいます。例えば、黒船来航の翌年、万延遣米使節の目付役としてアメリカに派遣された小栗忠順は、帰国後、日本の近代化を次々に進め、司馬遼太郎から「明治の父」と評されるほどの活躍を見せました。また、この使節には咸臨丸で同行した、若き勝海舟、福沢諭吉の姿もありました。彼らも、この渡米体験に大きな影響を受け、その後の日本を大きく変えました。当館では、この時、アメリカから日本へ寄贈された図書を10冊所蔵しています。
他に海外渡航を経験した日本人として、上海のイギリス租界で衝撃を受けた高杉晋作や、海外留学をした伊藤博文、新島襄、榎本武揚などが有名です。
今回の貴重書展示では、これら幕末の欧米関係の貴重書を展示します。