2013年8月の貴重書展示
十返舎一九「膝栗毛」と東海道の旅
東海道は、現在でもJR東海道線や国道1号線として、日本の主要幹線を担っていますが、街道の整備は律令政治の時代から始まったとされています。
東海道が発達した最大の要因は、大名による参勤交代です。最大で数千人規模の大名行列が東海道を利用することにより、宿場ばかりではなく宿場周辺の経済も大いに活性化しました。
また、江戸時代中期になると、豊かになった庶民が旅行をするようになり、第一次東海道ブームが起こります。また、19世紀になると、『東海道中膝栗毛』や『東海道名所図会』の出版がきっかけとなり、第二次東海道ブームが起こりました。
江戸時代の庶民の旅行は幕府により厳しく制限されていましたが、参詣と湯治が目的の旅行であればほぼ無制限に許可されていました。そのため、多くの庶民は伊勢神宮参拝を名目に旅行に出かけ、お蔭参りのような集団参詣も発生しました。
今回の展示では「膝栗毛」をはじめ東海道に関する貴重書や浮世絵を展示します。
展示期間・場所
期間 8月1日(土)~8月29日(木)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室 貴重書展示コーナー
展示資料一覧
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書名等 | 画像 | 略説 |
K217/2 『道中膝栗毛』 |
駿府生まれの十返舎一九によって執筆された滑稽本です。駿府宿出身の弥次郎兵衛との江尻宿出身の喜多八のコンビが、東海道を旅しながら、各地で聞いたおもしろい話や、2人の珍妙な失敗談などを語っています。 | |
Q291-5 『道法早算用道中記 東海道中仙道』 |
江戸時代後期に出版された、東海道(53次)と中仙道(69次)の宿場間の距離のみを記した一枚刷りです。現代の鉄道の運賃・特急料金表などにも見られる形式で、任意の宿駅間の距離が瞬時に求められます。 | |
S091.3/2/429 『東海道木曽路広駅道中記』 |
「東海道中重宝記」と「木曽道中重宝記」を中心とする道中案内です。江戸からの下り道中について、次宿までの距離、駄賃・人足賃、街道筋の神社・仏閣・名所・旧跡等が簡潔に記されています。 詳細pdfはこちら |
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S290/225 『東海・木曽両道中懐宝図鑑』 |
江戸時代中期の旅案内で、上段に東海道、下段に木曽路と分けられ、各宿場の様子や街道沿いの風景が描かれています。見開き1ページで1宿を描いてあり、次宿までの路程、宿場や街道沿いの寺社・旧跡、名物等が記されています。 |