2012年8月の貴重書展示
静岡県初代県知事
関口隆吉と久能文庫
初代静岡県知事である関口隆吉は、地方官のトップであったばかりでなく、かつては中央政界でも活躍し、また、旧幕臣として徳川慶喜公や多くの士族のために尽力した人物でもあります。そのため隆吉には、静岡県はもとより日本全体のこと、徳川家のことを考える広い視点がありました。
隆吉は、徳川家代々の書物が散逸することを防ぐため、また、明治維新後の日本の飛躍のため、自らが集めた資料を公開する図書館を作ることを考えました。これが当館の特殊コレクション『久能文庫』のはじまりです。
久能文庫には、徳川家関係書物や隆吉に関連する書簡などもありますが、多くは地理・歴史・経済など当時の人々の役に立つ資料で、特に飢饉対策についての資料が充実していました。
8月21日は県民の日。これを機に静岡県の礎を作った偉大な知事のことを振り返ってみましょう。
展示期間・場所
期間 8月1日(水)~8月30日(木)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室 貴重書展示コーナー
展示資料一覧
画像をクリックすると、当館デジタルライブラリーの該当資料または拡大画像が表示されます。
書名等 | 画像 | 略説 |
Q010-1 『久能文庫 設立趣意書』 |
関口隆吉の公開図書館に関する趣意書です。子息である新村出氏の所蔵していた原本を、初代葵文庫(現静岡県立中央図書館)長の貞松修蔵が写したものです。 | |
Q049-1 『黙斎雑記』 |
関口隆吉が武家の心得などを雑記したものです(黙斎は隆吉の号のひとつです)。 | |
Q611-17 『遠州救荒小録』 |
県西部における天保7年の飢饉の実情を、半世紀後の明治18年頃にまとめたものです。村の古老から聞き記したもので、飢饉調査報告書というべきものです。 >詳細pdf |
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Q617-1 『製茶新説』 |
茶業を営むにあたり必要な技術を図入りで分かりやすく解説した本です。茶実の蒔き方や茶木の雄雌の見分け方、茶葉の摘み方、肥料などについて記されています。 |