2025(令和7)年10月のWeb版貴重書展示「久能文庫の救荒書」
Q616-2
『農家心得草』
葵文庫(江戸幕府旧蔵書)と並ぶ当館の特殊コレクションである久能文庫は、第三代静岡県令(県の長官)にして初代静岡県知事となった関口隆吉(1836~89)が収集した資料です。
隆吉は江戸の生まれでしたが、幕臣だった父の隆船は遠江国城東郡佐倉村(現御前崎市佐倉)の出身でした。隆吉も幕臣として徳川慶喜を支えた後に駿府藩の役人になり、明治3(1870)年に静岡に移り住んで牧之原台地の開墾に従事しました。翌年には請われて明治政府に出仕し静岡を離れましたが、このように静岡県に縁のある人物がその県の県令になるのは、当時異例のことでした。
隆吉は、維新後の日本の飛躍を願い、欧米にならった公開図書館を建設しようと書物を収集し、久能山に「久能文庫」として設立する計画を進めました。計画は隆吉の不慮の死によって実現せず、収集した書物は静岡県立葵文庫の創立を機に当館に寄贈され、久能文庫と名付けられました。
久能文庫の特色としては、社会の改善に役立つ内容の資料や、農政関係、特に備荒救荒関係の資料が多いことなどが挙げられます。
展示期間・場所
期間 10月1日(水曜日)~11月1日(土曜日)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室に入ってすぐの貴重書展示コーナー
展示資料一覧
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