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2024(令和6)年5月のWeb版貴重書展示「新茶の季節」

皇国製茶図会 第十七号製茶見本検査の図

明治初期、世界的なお茶の需要もあり、お茶は生糸と並ぶ日本の主要輸出品目でした。
明治政府は、輸出向け品目として、お茶の生産を戦略的に拡大しました。静岡で牧之原台地の開墾などによって大幅なお茶の生産拡大が行われたのは、栽培に適した気候だったことに加え、当時、お茶が有望な商品作物として期待されていたためです。
こうした後押しもあり、静岡のお茶の生産量は増え、京都の宇治などから栽培・製茶技術の導入も進められました。さらに、「ころがし」「でんぐり」といった独自の手揉み製法を考案し、日本を代表するお茶の産地としての地位を固めていきました。
当館の特殊コレクションである「久能文庫」は、初代静岡県知事である関口隆吉が収集した資料ですが、その中には茶業に関する本も多く、関口の茶業への関心の高さがうかがえます。

展示期間・場所

期間 5月1日(水曜日)~5月30日(木曜日)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室に入ってすぐの貴重書展示コーナー
(期間中、資料を入れ替えて展示します)

展示資料一覧

画像をクリックすると、当館デジタルライブラリー、拡大画像、国立国会図書館デジタルコレクションのいずれかが表示されます。

書名等 画像 略説

Q617-2
『茶業必要(ちゃぎょうひつよう)』

茶業必要

『茶業必要』は、明治時代に数多く刊行された茶業書のひとつです。上下巻に分かれていて、茶樹栽培、茶摘み、中国の茶園のこと、緑茶・紅茶の製法など、全16条で構成されています。第4条の「茶の品位幷効用及び元素分析表」では、お茶に含まれる成分を調査し、茶の滋養効果について記しています。また、第16条では、海外の紅茶製方器械や蒸室(むろ)、焙炉(ほいろ)について図を用いながら解説をしています。

国立国会図書館デジタルコレクションで全文を読むことができます。(茶業必要 上巻 外部サイトリンク)(茶業必要 下巻 外部サイトリンク)

Q617-2
『茶業改良法(ちゃぎょうかいりょうほう)

茶業改良法

静岡市の寶臺院(ほうだいいん・宝台院)で多田元吉(ただもときち)(1829~1896)が行った、明治20(1887)年11月6~8日の3日間にも及んだ「茶業説話会」での講話を文字化したものです。『静岡大務新聞』に全文掲載され、その後静岡県が出版しました。
多田元吉は明治維新後に静岡に移住し、丸子で茶園を開いた人で、紅茶生産を急務としていた政府に登用され明治8(1875)年から明治10(1877)年にかけて中国・インドを視察し、その製法の調査研究を行いました。インド式紅茶製造を全国へ広め、茶樹の品種改良や高品質の緑茶製造を可能とする器具を考案するなど紅茶・緑茶の発展に寄与しました。

国立国会図書館デジタルコレクションで全文を読むことができます。(茶業改良法 外部サイトリンク)

K915-108-054-028
『皇国製茶図会 第十六号商館売込の図』 (前半展示)

皇国製茶図会 第十六号商館売込の図

横浜港に茶箱が荷揚げされると、茶商(仲買人)が外国商館へ出かけ売込みの交渉をしました。商館側では交渉上手な中国人が応対しました。取引成立の後、商館の入口に立って人夫の茶箱搬入作業に立ち会っている男性が中国人です。日本人の茶商が、この中国人に何か話しかけています。

K915-108-054-029
『皇国製茶図会 第十七号製茶見本検査の図』(後半展示)

皇国製茶図会 第十七号製茶見本検査の図

江戸末期に開国して以降、日本茶がさかんに輸出されました。この図会が描かれた頃、静岡の茶は、清水港から横浜へ運ばれ、再加工して輸出されていました。
第十七号製茶見本検査の図には、日本人の商家に外国の商人が検査に来ている様子が描かれています。検査は、自然光の当たるところで行われ、色や味など品質の悪い茶は取締りの対象となりました。

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