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2023(令和5)年5月のWeb版貴重書展示「新茶の季節」

皇国製茶図会 第二十号 汽船海外へ出帆の図

K915-108-054-030
『皇国製茶図会 第二十号 汽船海外へ出帆の図』

新茶の季節

Web版 貴重書展示~

明治初期、世界的なお茶の需要もあり、お茶は生糸と並ぶ日本の主要輸出品目となりました。明治政府は、お茶を海外輸出向け品目として戦略的に生産を拡大しました。静岡県で牧之原台地の開墾などにより大幅なお茶の増反が行われたのは、立地条件的な理由もありましたが、当時、お茶が有望な商品作物として期待されていたためです。

こうした後押しもあって、静岡でのお茶の生産量は増え、京都の宇治などから栽培技術や製茶技術の導入も進められました。やがて「ころがし」「でんぐり」といった独自の手揉み製法を考案し、静岡は日本を代表するお茶の産地としての地位を確立していきます。

当館の特殊コレクションである「久能文庫」は、初代静岡県知事である関口隆吉が収集した資料ですが、その中には茶業に関する本も多く、県内の茶業を振興していこうという知事の姿勢が感じられます。

展示期間・場所

期間 4月29日(土曜日)~5月30日(火曜日)
場所 静岡県立中央図書館 入口入ってすぐの貴重書展示コーナー
(期間中、資料を入れ替えて展示します)

展示資料一覧

画像をクリックすると、拡大画像が表示されます。

書名等 画像 略説

Q617-1

『製茶新説(せいちゃしんせつ)

製茶新説

製茶新説

『製茶新説』は、茶業を営むにあたり必要な技術を図入りで分かりやすく解説した本です。上巻では茶実の蒔き方や茶木の雄雌の見分け方、茶葉の摘み方、肥料などについて、下巻では製茶法や霜よけ、害虫予防などについて記されています。書名に"製茶"とありますが、茶木の栽培方法に重点が置かれた内容となっています。

明治時代、茶は生糸に次ぐ重要な輸出品目であり、本書をはじめ、多くの茶業技術書が出版されました。

Q617-4

『茶務僉載(ちゃむせんさい)』

茶務僉載

(前半展示)

茶務僉載

(後半展示)

中国の胡秉樞(こ・へいすう)が「日本の茶質は素晴らしいが、製法に向上の余地がある」と自筆の茶務僉載を持ち、日本にやってきました。試製させたところ、よい仕上がりであったため、内務省が翻訳し、出版しました。そのため、中国人の作業の様子が挿絵に描かれています。

K915-108-054-027

『皇国製茶図会 第五号 蒸せし葉を丸め日に晒す図』(前半展示)

第五号 蒸せし葉を丸め日に晒す図

『皇国製茶図会』は、明治時代の製茶産業における生産・取引・出荷などの各場面を描いた連作です。
藤の花が咲く農家の庭先で、蒸された茶葉が筵(むしろ)に広げられ、女性たちがおしゃべりしながら楽しそうに作業をしています。子どもも一生懸命お手伝いをしています。

K915-108-054-027

『皇国製茶図会 第十四号 海岸荷揚の図』』(前半展示)

皇国製茶図会 第十四号 海岸荷揚の図

箱詰めされたお茶は海路で横浜に運ばれました。大きな茶箱を運ぶ人足と、それを指示するモダンな洋服姿の男性、釣竿と魚籠(びく)を持って通り過ぎる着物姿の子供が描かれ、江戸と明治の風俗が混在した当時の様子を伝えています。

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『皇国製茶図会 第十八号 商館再焙の図』』(後半展示)

皇国製茶図会 第十八号 商館再焙の図

外国商館に届いたお茶は、長い太平洋の航海に備え、商館内にあるお茶場でもう一度焙煎されました。
左奥では、たくさんの女工たちが窯で、手前では男性が籠を使って茶を煎っています。

K915-108-054-030

『皇国製茶図会 第二十号 汽船海外へ出帆の図』』(後半展示)

皇国製茶図会 第二十号 汽船海外へ出帆の図

再焙煎されたお茶は蒸気船に積み込まれ、横浜・神戸・長崎の港から遠くアメリカやヨーロッパの市場に輸出されていきました。

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