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2023(令和5)年3月・4月のWeb版貴重書展示「熟読 学問のすゝめ」

学問ノスヽメ 初編_表紙
022/フク
『学問ノスヽメ』

熟読 学問のすゝめ

~Web版 貴重書展示~

「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」はあまりに有名な福沢諭吉の『学問のすゝめ』の冒頭の一節ですが、『学問のすゝめ』をきちんと読んだことのある方は少数派ではないでしょうか。

『学問のすゝめ』は明治5(1872)年から明治9(1876)年にかけて17編の分冊として刊行されました。明治維新後の混乱期、若者たちに進むべき道を示したこの本は、初編が出版されるとあっという間に人々の心をつかみ、各編約20万部、17編合わせて約400万部近く売れたと伝えられています。当時の日本の人口が3000万人程でしたから10人に1人は読んだことになります。

明治の大ベストセラーは150年を経た今でも、いや先の見えない今だからこそ新しく、読む人の心に訴えるものがあります。難しそうにみえますが、今では現代語訳も超現代語訳も出ています。現代に生きる私たちにとっても、大いに示唆に富む『学問のすゝめ』をこの春読んでみませんか。

展示期間・場所

期間 3月1日(水曜日)~4月27日(木曜日)
場所 静岡県立中央図書館 入口入ってすぐの貴重書展示コーナー
(期間中、資料を入れ替えて展示します)

展示資料一覧

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書名等 画像 略説

022/フク
『学問ノスヽメ 初編』
(前半のみ)

学問ノスヽメ 初編

初編 なぜ学問を勧めるか

初編では、四民平等と学問の推奨について言及しています。
まず、人間は生まれによる差はないと述べています。その上で、これからの時代、身分・貧富は、学問に励んだかどうかで決まる、と断言しています。それらを踏まえ、国民は学問を通じ自らを律し、才能と品格を備えていくべきである、と論じ、こうした国民が増えることで、日本が国家として独立し、豊かな生活が送れるようになるとしています。

022/フク
『学問ノスヽメ 第二編』
(前半のみ)

学問ノスヽメ 第二編

第二編 学問とは何か/人間は平等である

前半では、タイトルは『学問のすすめ』だけれども、学問とは本を読むことだけを指すのではない。学問の目的は物事の道理をきちんとつかむことなので、実学こそが大切であると述べています。
また後半では、人間は平等で、かつ政府と人民は対等であるので、政府とわたりあえる人民となるために、いますぐ学問に志しなさい、と勧めています。

022/フク
『学問ノスヽメ 第三編』
(前半のみ)

学問ノスヽメ 第三編

第三編 個人の独立があって、国も独立する

国と国との関係は対等であるが、国民に独立の気概がないときには、一国の独立を維持することができない。ひとりひとりが学問に志し、しっかりとした気力を持って、まずは自分自身の独立を目指そう。国民に独立の気概があれば、自然と国を思う気持ちも深くなって、国を豊かに強くすることができるのだ!と述べています。

022/フク
『学問ノスヽメ 第六編』
(前半のみ)

学問ノスヽメ 第六編

第六編 国法は尊い

国の法律は、自分たちの代表である政府が作ったものだから、国民は、その法律を守らなくてはいけない、その法律がどうにも不都合だと思えば、遠慮なくこれを論じ訴えるべきと説いています。
そして、赤穂浪士の討ち入りは私的制裁であり、本来は道義に従い、不当性を幕府に訴えて、裁判により明らかにすべきであったと論じています。

022/フク
『学問ノスヽメ 第九編』
(前半のみ)

学問ノスヽメ 第九編

第九編 学問の二つのレベル

まず、人の心身の働きには一個人としての活動と、社会人としての活動との二つがあると説明しています。
個人として衣食住の安定を求めることは当然なことで、これだけでは人間としての務めを果たしたとは言えない、せっせと自分たちの富を蓄えるだけならアリと同じレベルだと述べています。今の文明は過去の人々が一体となって今の我々に譲渡してくれた遺産なのだ、我々も社会の一員として志を高く持ち、後世に役立つ遺産を残そうと論じています。

022/フク
『学問ノスヽメ 第一〇編』
(後半のみ)

学問ノスヽメ 第十編

第一〇編 学問の二つのレベル(2)

まれに学業の道半ばにして生活のためにあきらめる人がいる。自らの生活を建てることを軽く見るべきではないが、才能のある人物が未熟に損なうことは、本人にとっても、社会のためにも惜しいことであると述べています。また学問は米をつきながらもできると説いています。

022/フク
『学問ノスヽメ 第一二編』
(後半のみ)

学問ノスヽメ 第十二編

第一二編 演説のススメ/品格を高めよ

前半部分は、多くの人を集めて個人の意見を言うことはあまりなかったこの時代に「スピーチ」の大切さ、面白さを説明しています。
後半は国民の見識の低さを心配し、そもそも人間の品格とはなにか、またそれを高めるにはどうしたらいいのかと海外の例も加えて解説しています。

022/フク
『学問ノスヽメ 第一三編』
(後半のみ)

学問ノスヽメ 第十三編

第一三編 「ねたみ」は百害あって一利なし

人の持つ欠点は使い方によって利点にもなりますが、「怨望(恨み)」だけは良いところが無いと説明しています。原因を知りそれが自分の責任であることを理解すれば貧富の差があろうと他人を恨んだりしない。怨望は他人をうらやみ自分以外を不幸にすることで不満を解消しようとしますが、結局どこにも利は生じていないと述べています。

022/フク
『学問ノスヽメ 第一四編』
(後半のみ)

学問ノスヽメ 第十四編

第十四編 心事の棚卸/世話の字の義

前半では、人生というものは思いのほかに悪事や愚なことをやり、成功しないものであるので、事業の成否・損得について、時々自分の心の中でプラスマイナスの差し引き計算をしてみることを勧めています。
また後半では、世話という言葉は、保護と指図の意味があるが、その範囲が合っていれば、親子関係も政府と人民の間もまるく治まると述べています。

022/フク
『学問ノスヽメ 第一七編』
(後半のみ)

学問ノスヽメ 第十七編

第十七編 人望論

人望がない人は何もできないので、人望を得るために必要なことは、正しく自己アピールをすること、弁舌、交際を広げることなどであると述べています。そして、「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という有名な言葉で始まった『学問ノスヽメ』は「人にして人を毛嫌いするなかれ。」という言葉で終わっています。

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