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2022(令和4)年6月のWeb版貴重書展示「明治の地理教科書」

萬國地誌略
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『萬國地誌略(ばんこくちしりゃく)』

明治の地理教科書

Web版 貴重書展示~

明治維新後、早急な近代化と富国強兵の必要に迫られた明治政府は"教育"こそが最重要な政策だと考え、明治5(1872)年に学制を発布し、近代的な学校制度をスタートさせます。

国際社会の一員となるべく、西洋知識を一般にも広め、国家の近代化をはかるという政府の方針により、多くの新しい教科が生まれました。例えば、地理に関しては学校で使う体系的な地理教科書は江戸時代にありませんでしたが、明治に入り文部省が『地理初歩』や『日本地誌略』『万国地誌略』を著作し、これらを教科書の基準として刊行しました。

世界を教え、日本を世界の中に位置づけることで、国民の視野を広げ国際感覚を養い、日本が世界で活躍するための日本人を育てるための科目として地理教育は重視されました。

展示期間・場所

期間 6月1日(水曜日)~6月29日(水曜日)
場所 静岡県立中央図書館 入口入ってすぐの貴重書展示コーナー

展示資料一覧

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書名等 画像 略説

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『静岡縣誌(しずおかけんし)


静岡縣誌

幕末から明治期には、海外や日本のことを知る必要に迫られました。まずは近隣の地理から学ぶという方針のもと、全国で郷土地理の初歩教科書が多数出版されました。静岡県でも小学生の学習のために「静岡縣誌」が作られました。

本書は各国の地誌を概観した後に、その国の歴史を述べ土地の沿革や日本史の全体の結びつきを明らかにするなど、当時の地方誌のスタイルをとっていますが、歴史的背景についての叙述は明確であり、挿絵も簡明で分かり易く生徒の学習に適するよう、うまく工夫された教科書と言えます。

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『日本地誌略(にほんちしりゃく)』

日本地誌略

本書は小学教則にも指定され、当時の小学校地理教科書を代表するものでした。「巻一」は機内・東海道地域に関して書かれており、薩埵峠から見た駿河湾と富士山の挿絵も掲載されています。全4巻の構成で、日本各地の地理や産物等を簡潔に説明しています。統一した体系立てや記述方法など革新的な要素もありましたが、きちんとした教材観がないなどの課題も指摘されました。

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『萬國地誌略(ばんこくちしりゃく)』

萬國地誌略

本書は『日本地誌略』と並行して文部省が刊行した世界地理の教科書で、外国で出版された地誌から材料を取り、それらを編集して作成されました。全体的には国別の地誌の解説が主で、各国の関係やその地方全体の性格を理解させるようには編集されていませんでした。しかし、地誌教材を全世界に渡って収集してあり、豊富な挿絵を含んでいたことから、小学校で使用するには適した地理教科書でした。

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