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2021(令和3)年5月のWeb版貴重書展示 「新茶の季節」

製茶新説

Q617-1『製茶新説』

新茶の季節

~Web版 貴重書展示~

私たち静岡県人は、毎日おいしいお茶をいただいていますが、庶民が毎日飲めるようになったのは、実は明治以降であることをご存知でしたか?

お茶は奈良時代から平安時代に中国に留学した僧侶によって日本へ伝わりましたが、当時のお茶は薬用として珍重され、儀式や行事で用いられる程度でした。鎌倉時代、栄西が中国でお茶の効能について感銘を受け、日本に持ち帰り、それまで上流階級に限られていた喫茶の習慣を一般社会に伝えたと言われています。

静岡における茶業の始まりは、鎌倉時代に聖一国師が静岡市の足久保にお茶の種をまいたことがきっかけです。江戸時代後期には、駿河は宇治・信楽と並ぶ煎茶の産地と言われるまでになりました。

明治初期は、世界的な茶の需要もあり、茶は生糸と並ぶ日本の主要輸出品目となりました。清水港は当時、茶の輸出量では日本一でした。
ちなみに、茶の一大優良品種である「やぶきた」は静岡で生まれました。やぶきたを生んだ杉山彦三郎の像や、やぶきたの原樹は当館の近くで見ることができます。

展示期間・場所

期間 5月1日(土曜日)~5月30日(日曜日)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室 貴重書展示コーナー
(期間中、ページを替えて展示します)

展示資料一覧

画像をクリックすると、当館デジタルライブラリーの該当資料が表示されます。

書名等 画像 略説

Q617-1
『製茶新説』

製茶新説

茶業を営むにあたり必要な技術を図入りで分かりやすく解説した本です。上巻では茶実のまき方や茶木の雄雌の見分け方、茶葉の摘み方、肥料などについて、下巻では製茶法や霜よけ、害虫予防などについて記されています。書名に"製茶"とありますが、茶木の栽培方法に重点が置かれた内容となっています。
明治時代、茶は生糸に次ぐ重要な輸出品目であり、本書をはじめ、多くの茶業技術書が出版されました。

Q617-2
『茶業必要』

明治時代にたくさん刊行された茶業書のひとつです。上下巻に分かれていて、茶樹栽培、茶摘み、中国の茶園のこと、緑茶・紅茶の製法など、全十六条で構成されています。第四条の「茶の品位並び効用及び元素分析表」では、10種類のお茶に含まれる成分を調査し、日本製茶は滋養効果に優れていると記しています。

K992/13
『喫茶養生記』

鎌倉時代の僧で天台宗の開祖、栄西が著した日本最初の茶書です。上下二巻で構成され、上巻は、序文についで、茶が五臓の和合をはかる妙薬であるゆえんを説き、次に茶の名称、形態、効能等を解説し、下巻は桑の解説を主に、末尾に喫茶法を説いています。
喫茶の風を再伝し、日本に定着させる先駆的役割を果たした著として、日本の茶道史上の重要な文献の一つです。

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