2021(令和3)年1月のWeb版貴重書展示 「浮世絵で見る江戸の正月」
K915-108-048-079『初日の出詠歌』
正月には、初詣や初日の出、年賀状やおせち料理など、様々な行事や風習がありますが、江戸の町では人々はどのような正月を送っていたのでしょうか。
正月は大晦日の夜から始まります。歳徳神(としとくじん)が訪れる方角の恵方に当たる寺社に初詣し、初日の出を拝みます。江戸城では3日まで諸大名が年始のため一斉に登城しました。特に正月3日の夕刻には、江戸城本丸大広間で謡初(うたいぞめ)が行われ、江戸城にいる全ての大名たちが大広間に集まり、観世太夫をはじめとする幕府お抱えの能役者による「高砂」の謡や「老松」の囃子などを将軍とともに楽しみました。
町方では、太神楽(だいかぐら)・三河万歳・猿回しなどが家々を訪れたり、年始回りに配るための扇売りやよい初夢を見るための宝船売りが来たりしました。子どもたちは凧揚げや羽根突き、双六やカルタに興じました。
ちなみに、年頭最初に吉運ある初夢を見るために、宝船の絵を枕の下に入れる当時の習慣は、室町時代から将軍をはじめ、庶民の間でも広く行われていました。夢は神仏の啓示であると信じられていて、夢見は占いであり、その吉凶が大きな運勢を決めると考えられていたからです。
展示期間・場所
期間 1月5日(火曜日)~1月17日(日曜日)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室 貴重書展示コーナー
展示資料一覧
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