2026(令和8)年4月のWeb版貴重書展示「静岡ゆかりの詩人」
当館の特殊コレクションといえば、「しずおかの貴重書展示」でご紹介している「葵文庫」や「久能文庫」、「上村翁旧蔵浮世絵集」がありますが、過去には「現代詩ライブラリー」というものもありました。
昭和39(1964)年4月に館内に設置された現代詩ライブラリーは、現代詩の研究と普及を目的とした全国的にも珍しい取組でした。静岡県詩人会などの後援を受け、詩人や詩人団体、出版社などに現代詩に関する資料の寄贈を呼びかけ、収集・整理した資料を研究者や一般の利用に供したほか、講演会や展示会なども開催しました。この取組は、当館の職員で詩人でもあった高橋喜久晴氏と清水達也氏によるところが大きかったと言われています。
当時収集した資料の中には、宮崎湖処子『湖処子詩集』、島崎藤村『ひとは舟』、佐藤八郎『爪色の雨』、室生犀星『野いばら』の初版本や、今回展示する原稿などの貴重な作品が含まれています。
現代詩ライブラリーは、昭和45(1970)年の現在の地への当館の移転開館に伴い、特殊コレクションではなくなりました。現在、その資料の大部分は、当館ではなく外部保管施設で保存しているため、ご利用いただけません。
展示期間・場所
期間 4月2日(木曜日)~4月29日(木曜日)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室に入ってすぐの貴重書展示コーナー
展示資料一覧
今回ご紹介する作家の作品はいずれも著作権の保護期間中のため、Web版貴重書展示での画像展示はありません。
作品(直筆原稿)をご覧になりたい方は、是非ご来館ください。
| 展示資料名 | 略説 |
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「初めての児に」 (911.5/2686/『現代詩人原稿集』137)
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吉野弘(よしのひろし) 戦後の代表的詩人・吉野弘は山形県に生まれ、戦争や病の体験を原点に、生と死を主題に詩作を重ねました。晩年は静岡県富士市へ移り住み、この地で創作を続けました。 |
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「結着」 (911.5/2686/『現代詩人原稿集』13) |
石原吉郎(いしはらよしろう) 石原吉郎は静岡県伊豆生まれの詩人です。終戦後、シベリア抑留(よくりゅう)生活を経て昭和28(1953)年特赦(とくしゃ)により帰還しました。詩作は帰還後にいち早く始められ、昭和30(1955)年詩誌『ロシナンテ』を創刊、昭和38(1963)年刊行の『サンチョ・パンサの帰郷(ききょう)』でH氏賞を受賞しています。シベリアでの体験は石原氏の生に対する考え方に大きな影響を与え、昭和45(1970)年前後には当時の体験をもとにしたエッセイを多く発表しました。 |
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「餌箱」 (911.5/2686/『現代詩人原稿集』40) |
長田恒雄(おさだつねお) 静岡県安倍郡入江町(現静岡市清水区)の寺院に生まれた長田恒雄は、都会的なモダニズム詩や郷土への想いを綴った詩、その出自から仏教的な色合いの濃い作品も残しています。戦後は詩誌『現代詩研究』を創刊し、後進の育成に尽力しました。 |