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図書館員の棚から3冊(第125回)(2019/01/11)

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図書館員の棚から3冊(第125回)(2019/01/11)


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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第125回目は 菊川市立図書館菊川文庫 市川 絢乃 さん です。

 
1 『だいぶつさまのうんどうかい』 
  (苅田 澄子/ぶん 中川 学/え アリス館 2017年


 いつもはお寺にいる仏様。そんな彼らがある日運動会を開きました。赤白帽子を被って跳んだりはねたり走ったり。千年間座りっぱなしだった奈良の大仏様もはりきって参加しました。しかし、体が大きすぎて玉入れ競争の玉を掴むことができず、障害物競走では障害物をなぎ倒してしまい失敗ばかり。踊れば地面が揺れて他の仏様たちが転んでしまいます。果たして大仏様は無事に全ての競技を終えることができるのでしょうか。
 パン食い競走の代わりにまんじゅう食い競争があったり、七福神が出てきて「ほとけダンス」を踊ったり、仏様らしい個性豊かな競技の数々にも大注目。現役のお坊さんがイラストを描いているだけあって、珍しい仏様たちが勢ぞろいしています。見開きのページにはそれぞれの仏様の特徴と性格がイラスト付きで丁寧に説明されており、仏像についての勉強をすることもできます。お寺や仏様をもっと知りたいという気持ちにさせてくれるありがたい一冊です。 
                                                         

2 『夢をあきらめなかった13人の女の子の物語』 
  (チェルシー・クリントン/作 アレグザンドラ・ボイガー/絵 西田 佳子/訳 潮出版社 2018 年


 今は女性差別が減ってきていますが、「おとなしくしてなさい」という言葉を言われたことのある女性は少なくないと思います。
 また、男女に関わらず「だめ」「無理」など、自分の夢や目標を否定された人もいるのではないでしょうか。
 この本にはそうした反対意見や差別発言に負けず、自分の意志を貫いた女性たちの逸話が紹介されています。
 人種差別・女性差別が当たり前にあった時代、彼女たちは周囲から常に馬鹿にされたり意地悪をされたりしていました。時には自分の命を脅かされるような仕打ちも受けました。それでも、彼女たちは負けませんでした。妨害する男性にも自分を否定する人々にも堂々と立ち向かっていき、様々な分野で現在にも残る功績を残しました。本の中には、彼女たちが残した名言が出てきます。どの言葉も強い意志と、諦めないことの大切さに満ちています。みなさんも、心が疲れたときや、自分に自信を失くしたとき、この本のページをそっと開いてみてはいかがでしょうか。


3 『ニッポン離島の祭り 
  (箭内 博行/写真・文 グラフィック社 2018年


 日本の離島には、独特の文化や伝統行事が受け継がれています。本州では無くなってしまった芸能や神事も残っており、それらが祭りの場で一際個性を放っています。
 祭りの当日、島内の寺社は鮮やかな紙垂や提灯、垂れ幕や奉納旗などで彩られます。まず目を引くのは煌びやかな衣装や奇抜な仮面の数々。また、神輿の海上渡御や競漕など海に生きる人々ならではの豪快で勇壮な神事を見ることもできます。
 写真からも、にぎやかなお囃子の音や人々の楽しそうな歓声が聞こえてくるようです。
 何よりも特徴的なのは大人も子供もお年寄りも、一緒に祭りを盛り上げて次の時代へ繋ごうとしている点です。神仏と共に豊作を祝い、無病息災を祈るという日本文化の重要な部分を少子化が進み、地域関係が希薄になった現代でも色あせることなく受け継いでいました。
 今、こうした祭りや伝統行事に若い世代の人々の関心が薄れています。仕事に忙しかったり、地域の人々との付き合いが面倒だったりと、理由は様々です。
 しかし、昔から伝わってきた祭りや芸能は次に引き継ぐ人がなければ無くなってしまいます。この本を通して、日本にしかない大切な文化にもう一度目を向けてみてはいかがでしょう。

 次回は 河津町立文化の家図書館 鈴木 基 さん です。

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