葵文庫の和漢書は、林家、昌平坂学問所(しょうへいざかがくもんじょ)の旧蔵書の系統と箱館奉行所(はこだてぶぎょうしょ)・諸術調所(しょじゅつしらべしょ)の旧蔵書の系統とに大別される。
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(1) 林家の旧蔵書
林家は、家康の命により駿河文庫の管理に当たった初代林羅山(らざん)以来、代々幕府の儒官(大学頭)に就き、文教の興隆に功績を挙げた一門である。
林家の旧蔵書には、漢籍を中心とする稀覯書(きこうしょ)が多く、初代道春〜どうしゅん〜(羅山)、二代春斎〜しゅんさい〜(鵞峰〜がほう〜)、四代信充〜のぶあつ〜(榴岡〜りゅうこう〜)、八代信衡〜のぶひら〜(述斎〜じゅっさい〜)、十一代復斎(ふくさい)の各印記が確認される。(下に示したのは羅山、鵞峰、復斎の印記)
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林家三氏の印記
林 羅山
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林 鵞峰
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AC-17-1
(5.6×1.6cm)
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AC-17-1
(3.8×1.7cm)
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林 復斎
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AJ12
(2.5×2.5cm)
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AC2
(3.2×1.7cm)
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AC7
(4.0×1.5cm)
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「恩賜官本」印は、将軍家綱が鵞峰に賜与した紅葉山文庫(もみじやまぶんこ)からの重複本60部に押されたもので、葵文庫の漢籍26部に確認される。寛政のころにはかなり散逸し、34部になっていたといわれるので、当時実在していた恩賜官本の大部分が駿府にもたらされたことになる。
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AC-21-2
(5.5×1.0cm)(朱、無枠)
「恩賜官本」印
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AC-21-2
(3.5×3.5cm)(朱)
「林氏蔵書」印
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「林氏蔵書」印は、寛政9年(1797)昌平坂学問所が官学に改組された際、第八代林述斎が羅山以来の林家の蔵書にすべてこの印を押して学問所に移管したといわれる。葵文庫の漢籍35部の中、30部にこの印記が確認される。 |
<参考文献>
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024.4-3「内閣文庫蔵書印譜」(内閣文庫)
020.8-3「内閣文庫書誌の研究」(福井保)
081.5−コ1「近藤正斎全集」3好書故事
370-213-10「日本教育文庫」所収「昌平志」
石田徳行「静岡県立中央図書館蔵恩賜官本再考」(Z05「常葉学園大学研究紀要」、教育学部、22号、2001年度) |
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