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名著・貴重書/洋書と明治初期の翻訳書
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(1)法律書 3

AF124-1〜2
G.−F.de Martens
“Precis du droit des gens moderne de l'Europe”2e ed. Paris, 1864.
(マルテンス『現代ヨーロッパ国際法概要』第2版 1864年 パリ)2冊
印記:開成所、静岡学校
タイトルページ
 
第2巻表紙裏の貼紙
タイトルページ
第2巻表紙裏の貼紙

 マルテンス(Georg Friedrich von Martens)(1756-1821)はドイツを代表する国際法学者であり、有能な外交官でもあった。それまでは、グロティウス(Hugo Grotius)(1583-1645)以来の伝統で、国際法は人間の理性を正しく働かせることによって発見できるという自然法学が支配的であった。これに対してマルテンスは本書で、国際法は国家間の条約や慣習の中に求めるべきことを説いた。近代国際法はマルテンスによって決定的に道が開かれたといわれている。マルテンスの著した『現代ヨーロッパ国際法概要』(フランス語)は、1802年コベット(Cobbett)により英訳され、とくにアメリカに強い影響を与えた。
 江戸幕府旧蔵のこの本は、マルテンス著『現代ヨーロッパ国際法概要』のヴェルジェ(Verge)による編集版(第2版)である。なお、「丙寅」(ひのえとら)の書き込みのあることから、本書が開成所に入ったのは慶応2年(1866年)と思われる。

<参考文献>
    辻健児「マルテンスの国際法理論」(Z32-44『国際法外交雑誌』85巻5号 1986年)
    (329-127) 国際法学会編『国際法辞典』1975年 鹿島出版会 p.649.

 
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