(3) 箱館奉行所(はこだてぶぎょうしょ)・諸術調所(しょじゅつしらべしょ)の旧蔵書

 蝦夷地に対するロシアからの脅威や、日本の貿易市場化を狙う諸外国への危機感を反映して、幕末に翻訳・刊行または筆写された西洋兵術書が多く、陸軍所発行「官板砲兵程式」(慶応3)「官板兵学程式」(慶応3)など政府刊行の軍事書も含まれている。

 「箱館御役所」印は箱館奉行所の旧蔵書に、「諸術調所」印は諸術調所の旧蔵書にそれぞれ押され、前者は和書10部(44冊)、洋書1部(2冊)、後者は和書11部(59冊)に確認される。なお、両印記をもつ和書21部のうち、19部に「駿府学校」(「静岡学校」印ではない)の印が押されている。

「箱館御役所」印
 
「諸術調所」印
AJ34
(7.4×2.1cm)
「箱館御役所」印(朱)
AJ28-3-01
(5.9×2.5cm)
「諸術調所」印(朱〜黒)

<参考文献>
長谷川誠一「箱館奉行所旧蔵洋書の研究」
(「北海道の文化」30号・1974年)

長谷川誠一「箱館奉行所旧蔵洋書の研究2」
(「北海道の文化」33号・1975年)

215.8-17「大日本近世史料」編脩地誌備用典 籍解題三

石田徳行「静岡県立中央図書館蔵諸術調所・箱館奉行所旧蔵書瞥見」(「葵」12号)

372.1-265-1「幕末教育史の研究」第1冊「諸術調所」の項

 
左下枠画像
前ページへ
次ページへ
下枠画像
右下枠画像