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現在位置:HOMEの中の棚から3冊から図書館員の棚から3冊(第119回)(2018/10/12)

図書館員の棚から3冊(第119回)(2018/10/12)


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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第119回目は森町立図書館 菅沼 覚 さん 宮谷 恵子 さん 中嶋 裕子 さん です。■

 
1 『青い鳥』 
  (重松 清/著 新潮社 2007年)


 村内先生という、臨時教諭が赴任する中学校を舞台にした連作短編集です。表題である『青い鳥』は阿部寛主演による映画にもなりました。原作が先か映画が先か記憶は定かではありませんが、私が重松清という作家を知った最初の作品です。村内先生は吃音を持っています。私たちの日常生活の中で、当たり前のように通り抜けていく「ことば」。そこにあえて「吃音を持つ教師」を登場させることで、読者を立ち止まらせ、「ことば」の奥にある本質的なもの、生きていくうえで本当に大切なものを考えさせてくれる作品だと思います。
 私自身も、今でこそ改善しているものの、若い頃は吃音でかなり悩みました。それだけに、多少なりとも村内先生と自分を重ね合わせながら読み進むことができたように思います。村内先生の本気で1人1人と向き合っていく姿から、主人公たちはそれぞれ大切な「何か」に気付いていきます。
 最初の編「ハンカチ」では、いじめのため場面緘黙(ばめんかんもく)【不安障害のひとつ。およそ500人に1人いるといわれている。本来は話せるが、特定の場面でだけ話せなくなり、社会生活に支障をきたす。人見知りとは違う。】となった主人公が、自らの「ことば」を取り戻していく物語です。最後のシーンは何回読んでも目が潤んできます。最後の編『カッコウの卵』もお薦めです。
                                          (菅沼 覚)                                                               

2 『ぼくのつくえはぼくのくに』 
  (佐藤さとる/著 学習研究社 1971年)

 本を大切に使って貰う事は図書館職員の永久テーマではないでしょうか?
 「ぼくのつくえは ぼくのくに」は、私が小学校低学年の時に国語の授業で教師から紹介された本でした。当時の私は読み終わった後に「自分のことを自分でするのはあたりまえじゃないか」と思った本です。
 「ぼくがしなけりゃいけないんだ。だってこのつくえはぼくのくになんだもんな。」主人公のかおるくんが、大切にしている机にやってきた悪者を追い出した後に言うセリフです。物を大切にすることを考えるだけではなく、自分の中の責任感を育てるきっかけになった本だったのではないかなと今の私は思います。
                                         (宮谷 恵子)                                        

3 『少年の木』 
  (マイケル・フォアマン/作・絵 岩崎書店 2009年)

 中学1年生の朝読書の時間に出向き、読み聞かせた絵本です。
 私は「鉄条網って知っていますか?この絵のように細い鉄を網の様に張りめぐらした物です。この本に出てくる少年の遊び場や家は破壊され廃墟の様です。そんな荒れ果てた大地に『小さな緑の芽』を見つけます。この本に出てくる鉄条網の意味について考えながら聞いて下さい。」と言ってから読み始めました。
 鉄条網のこちら側は攻撃によって町が破壊され廃墟となり、向こう側には兵隊達が陣取ってこちら側を見張っています。やや遠い所には無傷のマンションが建ち並び、美しい丘陵地が広がっています。
 瓦礫の中に芽生えた小さな緑の葉に、空き缶で毎日毎日無心で水やりをする少年。やがて、その木(蒲萄)は鉄条網を蔦って大きく広がり、木陰を作り子ども達の遊び場になります。ところがある日、兵隊達が来て全てを引き抜いてしまいます。悲しみの冬が過ぎ、遅い春が巡ったある日、鉄条網の向こう側に緑の葉がポツリポツリと出ていることに気づきます。ふと気づくと一人の少女がバケツを持って緑の葉に水を蒔いています。兵隊達は自分たちの土地に木々が育つのは気にしません。そしてある日少年は去年蒲萄の木が生い茂った瓦礫の中に、小さな緑の芽が再び芽生えているのを見つけます。両側から伸びた蒲萄の木は、鉄条網でからみ合い大きく広がっています。・・・・・・・
 鉄条網は、言い換えれば差別や偏見いじめや仲間はずれなどです。緑の芽を育てていく水は優しさでしょうか。勇気でしょうか。白黒の絵から始まり、最後は緑の木や丘、色とりどりの花や鳥達で終わる水彩画も素敵です。
                                         (中嶋 裕子)


次回は 伊豆の国市立韮山図書館 市川 舜 さん です。
 

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