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図書館員の棚から3冊(第113回)(2018/07/13)

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図書館員の棚から3冊(第113回)(2018/07/13)


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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第113回目は御前崎市立図書館 岡村 晴香さん 川村 美穂さん 服部 祐三子さん です。


1 『健康で文化的な最低限度の生活』 
  (柏木 ハルコ/著 小学館 2014年)

 京の区役所に就職した新卒公務員・義経えみるが配属されたのは福祉事務所。えみるはここでケースワーカーという生活保護に関わる仕事に就くことになったのだが、そこで生活に困窮した人々の暮らしを目の当たりにして――。様々なケースの生活保護受給者を通じてえみるの成長、そして福祉、生活保護の実態を描いた漫画です。
 自分が就職したばかりの頃に手に取った漫画でした。まずタイトルを見たときに、確か憲法にある文のような…と感じ、本の帯から公務員が主人公の話である事がわかりました。それなら読んでみようかな、位の軽い気持ちで買った作品でしたが初めて読んだときは衝撃的だったことを今でも覚えています。新人公務員が主人公ということや、物語の舞台が区役所ということで、とても身近に、そしてリアルに感じることのできる漫画でした。
 現在6巻まで刊行されていますが、これからの展開がとても気になる作品です。2018年7月よりドラマの放送も決まっている作品なので注目されている今、ぜひ読んでいただきたい作品です。
                                         (岡村 晴香)                                 


2 『コロボックル絵物語』 
  (有川 浩/作 村上 勉/絵 講談社 2014年) 

 子どもの頃、大好きで何回も繰り返し読んで、シリーズを全部買ってもらったのが、佐藤さとるさんの「コロボックル物語」シリーズ。もしかしたら隣に、すぐ近くにいるのかもしれない小さな人たち。私もせいたかさんたちのように、コロボックルやマメイヌと出会えたらいいのになあ。そんな風にたくさんのドキドキわくわくをくれた物語の新しいストーリーを生みだしてくれたのは、「図書館戦争」など数々のベストセラー作品の作者、有川浩さん。新しい物語の主人公のノリコのように、夢中になって本を読んで、コロボックルに会いたいと願い、そして会えなかった、たくさんのこどもたちの中の1人が私だったと、この本を読んで懐かしく思い出しました。有川さんもコロボックルと出会いたいひとりだったことが、あとがきで述べられていました。そうですよね!やっぱり探しますよね!!
 佐藤さんの紡いだ懐かしい物語の場面を辿りながら、有川さんの新しいストーリーも楽しめるという、私にはすごくお得な1冊。今の子どもたちにも、大人になった子どもたちにも、コロボックルの世界を夢見てもらえるといいなあ。
                                         
                                         (川村 美穂)

3 『ぼく、いってくる!』 
  (マチュー・モデ/作 ふしみ みさを/訳 光村教育図書 2013年)
 

 この本をご存知の方は多いかもしれませんが、私がこの絵本を知ったのは、2014年に司書課程の実習の学生を連れて、市内の子ども園でボランティアさんの読み聞かせを見学したときでした。20cm×20cmと、どちらかといえば小さめの絵本ですが、子どもたちはとても集中して聞いて(見て)いました。
 ことりのぼうやが「よーし、きめた!」と何やら決意して巣を出発します。「ママ!ぼくいってくる!」というぼうやの宣言にママは、さむいといけないからとセーターを着るように言います。パパ、おばあちゃん、おじいちゃんと、行き会う家族たちが、備えあれば…といろいろ持たせてくれます。ぼうやもそれらを素直に受け取り、抱えきれないほどになります。そしてたどり着いた目的地とは?!
 そのラストは私には衝撃的でした。読んだことがある方は、また大げさな…と思われるかもしれません。なぜそんなに衝撃を受けたのか考えると、たぶん、園児たちと同じように、このぼうやの冒険(?)をワクワクしながら聞いて(見て)いたからだと思います。そんなふうに聞けたのは、この絵本のおもしろさと、それを伝えたいボランティアさん自身がまず楽しんで、読んでくれていたからでしょうか。
 今回、この文章を書くにあたって読み返すと、シンプルでおもしろいストーリーのなかに、実はとても温かい想いが流れているようにも感じました。
                                     
                                        (服部 祐三子)

 次回は 掛川市立大東図書館 南部 明日香 さん です。 

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