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現在位置:HOMEの中のメールマガジンから図書館員の棚から3冊(第80回)(2017/02/24)

図書館員の棚から3冊(第80回)(2017/02/24)

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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第80回目は 河津町立文化の家図書館 久保田 真琴 さん です。■

 絵本を棚に戻しているときなどに、絵や題名に惹かれて手に取ってみて、ストーリーに引き込まれることがあります。大人が読んでも面白い絵本として3冊ご紹介します。

1 『9月のバラ』 (作・絵:ジャネット・ウィンター 訳:福本友美子 日本図書センター 2005年6月)
 
 
2001年9月ニューヨークでテロが起きた後、テロ現場近くのユニオン広場に飾られたバラについて、著者が聞いた話をもとに作った絵本です。バラは、南アフリカで二人の姉妹が育てたもので、二人が広場の芝生の上に2400本のバラを並べ、テロで崩れ落ちた二つのタワーを表現したのでした。
 なぜバラが広場に飾られたのか、著者は物語を姉妹が南アフリカでバラを育てる場面から始めます。フラワーショーでバラを展示するためニューヨークに来るまでは、色とりどりのバラがたくさん描かれ、姉妹がショーに向けてわくわくしている気持ちが伝わります。テロ後は雰囲気が一転し、人物も背景もすべてグレーの濃淡で描かれ、色があるのは、広場に飾られたバラと追悼のロウソクだけです。悲しいとかつらいという表現は一切ありませんが、色使いによるシーンの移り変わりが非常に印象的で、著者の死者を悼む気持ちが伝わってくる絵本です。


2 『ちいさな1』 (著:アン・ランド , ポール・ランド 訳:谷川 俊太郎 ほるぷ出版 1994年4月)

 1の位の足し算が物語のベースとなっており、数字の1が仲間を探して2個のなし、3頭のぬいぐるみのくまと、順繰りに様々なものに出会う絵本です。シンプルなお話ですが人間社会を反映しているようで考えさせられます。
 数字の1は2から9まで様々なグループに入れてもらおうとしても拒否されました。みな同種の仲間でグループを作っていて、異質な1は仲間として受け入れてもらえません。10番目の出会いでやっと仲間を得ます。人は似たような仲間で集まりがちで自分とは異なるタイプは受け入れられない場合がありますが、10番目に出会った仲間の言葉は、発想を転換すれば新しい世界が広がる可能性があると教えてくれます。IBMの企業ロゴなどを手掛けたグラフィックデザイナー、ポール・ランドが、自分の娘のために妻と一緒に創作したそうです。子どもたちに向けて書かれているものの、大人向けではと思わせる絵本です。

 
3 『白い池 黒い池-イランのおはなし』 (再話:リタ・ジャハーン=フォルーズ 絵:ヴァリ・ミンツィ 訳:もたいなつう 光村教育図書 2015年2月)
 
 リタ・ジャハーン=フォルーズが、母親のよく話してくれたイランの昔話を娘たちに聞かせているうちに、この昔話の登場人物に名前がついて、それをもとに絵本を作ったそうです。
 母親のかたみの毛糸玉があるおばあさんの家の庭に転がり込んでしまい、おばあさんは主人公に、毛糸玉を返す代わりに3つの頼みごとをします。主人公はその頼みごとと正反対のことをやりますがおばあさんは何も言いません。最後に白い池と黒い池につかるよう言われ、その通りにすると王女のように美しい姿に変わります。綺麗になった主人公を見て継母は、自分の娘をおばあさんのところへ行かせます。しかし、その娘は、みすぼらしい姿になって戻ってきました。主人公はおばあさんの言葉の真意を察知できたのに対し、継母の娘は言葉通りにしか受け取れなかったことが、2人の明暗を分けました。
 この絵本についてペルシア文学専門の徳原靖浩氏が、イランの「タアーロフ」文化との関連を考察しています(※)。タアーロフとは本音と建て前を使い分けることで、たとえば、客が商品の代金を払おうとしても、店員は最初お金不要というそぶりをするとか(本当にタダなわけでない)、相手の持ち物を褒めたとして、相手は「それではあなたにさしあげます」と言う(本当にくれるとは限らない)のだそうです。おばあさんの言動や行動も、タアーロフ文化を念頭に置くと納得できます。
 あらすじだけ聞くとイラン風シンデレラ物語ともとれますが、めでたしめでたしのおとぎ話というよりは、人生を生き抜く知恵を織り込んだミステリアスな物語だと思います。

 ※徳原靖浩氏の考察は以下参照。
 http://alefba.hatenadiary.jp/entry/2016/07/20/010411


             次回は 静岡市立南部図書館 小林 元子 さん です。


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