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図書館員の棚から3冊(第73回)(2016/11/11)


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図書館員の棚から3冊(第73回)(2016/11/11)

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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第73回目は 浜松市立舞阪図書館の皆さん です。■


1 
『ドアの向こうのカルト』 (佐藤典雅/著 河出書房新社 2013年)
「人生の答えを他の人に委ねた瞬間、自分の人生はなくなってしまう」
第十章が素晴らしいです。著者の経験からの思いが書かれています。
副題が「九歳から三五歳まで過ごしたエホバの証人の記録」となっていますが、宗教に限った話ではありません。長年エホバの証人として過ごしてきた著者が記したノンフィクションの本ですが、宗教だけに留まらない人生についての本と言えます。
人生の価値観、道徳観、倫理観。ニュースで言っているから。新聞に書いてあるから。それらは本当に真実でしょうか?自分の常識は世間の常識と同じでしょうか?自分で判断しましたか?自分で決めて、自分で責任を負うことをしていますか?全ての情報を鵜呑みにせず、自分で考えてみましたか?
「答えとは探すものではなく、創るものである」この本に出会って、気づくことがいろいろありました。ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
 

2 『十一月の扉』 (高楼方子/著 リブリオ出版 1999年・福音館書店 2016年)
11月に紹介する児童書…思いついたのがこちらです。まさに今の季節。秋がだんだん深くなっていく描写がとても素敵です。
ストーリーは中学生の爽子が「十一月荘」に二ヶ月だけ下宿する間の出来事と、それにリンクした爽子の作る「ドードー森の物語」。爽子はお気に入りのノートに二ヶ月で十話のお話を書きます。「十一月荘」に関わる人々との交流を基にした、なかなか素敵な物語です。つまり、『十一月の扉』は、一冊で二つのお話が楽しめるお得な本なのです。
ヤングアダルト(YA)真っ最中の爽子は「十一月荘」にいる間、様々な年代の人たちと接していくうちに少しずつ大人に近づいていきます。爽子の心の動きは、特にYA世代には共感してもらえると思います。
私が初めて読んだのは「週間新刊全点案内」の連載で、既に大人でしたが、毎週とても楽しみにしていました。YAはもちろん、かつてYAだった大人にもお薦めです。
そして、こちらは今年、福音館書店から再販されました。図書館には古い版と両方あるかもしれません。見比べてみるのもいかがでしょうか。


3 
『行事こびとのえほん(全6巻)』 (まついのりこ作・絵 童心社 1986年)
お正月、節分、ひなまつり、子どもの日、七夕、お月見。日本の伝統的な行事をお話にした絵本です。
私がこの本を初めて読んだのは、保育園の図書室でした。小さめのサイズの絵本で優しいイラスト、可愛い小人の絵がお気に入りでした。文章はシンプルで短めなので話も難しくなく、小さい子でも伝統行事を分かり易くイメージできるのではないかと思います。
私がこのシリーズの中で好きなのは「ひなまつりこびとのおはなし」です。淡いピンクの色使いがきれいなので、桃の節句にぴったりです。
小人がとっても可愛らしいお話なので、それぞれの行事が近づくと読みたくなる本です。季節ごとにお子様と一緒に読んでみてはいかがでしょうか。


          次回は 御殿場市立図書館の皆さん です。 

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