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現在位置:HOMEの中のメールマガジンから図書館員の棚から3冊(第51回)(2015/11/27)

図書館員の棚から3冊(第51回)(2015/11/27)

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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第51回目は 浜松市立城北図書館 池川 里果 さん  です。■


1 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上 春樹/著 新潮社/出版(1985

 情報を脳の中で暗号化する計算士という仕事をする「私」の「ハードボイルド・ワンダーランド」と、高い壁に囲まれてただ穏やかに一角獣の頭骨から夢を読む「僕」の「世界の終り」という二つの世界が並行して進み、やがて接点を持ち始める不思議なストーリー。

 高校生のときに出会った、初めての村上春樹作品です。雰囲気の全く違う二つの世界が交互に進んでいくのですが、一角獣やペーパークリップなど二つの世界どちらにも現れるモチーフがあり、文学作品を読み慣れていないながらもこれからどうなっていくのかとわくわくして読んでいきました。

 当時既に図書館が大好きでしたので、図書館が重要な施設としてでてきたのも嬉しかったです。

 物語は、機密情報を扱うために「私」が命を狙われてしまう「ハードボイルド・ワンダーランド」は、手に汗にぎり、静かで落ち着いた雰囲気の「世界の終り」では世界観を味わい、読み進めていきました。そして少しずつ2つの世界の関係性が明らかになっていきます。
 後半で主人公たちは大きな決断を迫られます。「ハードボイルド・ワンダーランド」の「私」は、なんでもそつなくこなすのに女性には去られるよくある村上春樹作品の青年。彼が「世界の終り」の世界との関係で他者に対する気持ちを変化させていきます、「世界の終り」の街の人々が失ったあるものを、自分は大切にできているか。考えさせられます。


現代世界と照らし合わせて読み進めてみるのはいかがでしょうか。

謎ときを楽しむ、洗練された文章を楽しむ、解釈をあれこれ考える、一度目もそれ以降も、読むたび楽しめる村上春樹ワールドに浸かってみませんか。

 

2 『ぐるぐるまわるすべり台』中村 航/著 文藝春秋/出版(2004

主人公は、塾の講師としてアルバイトする「僕」。プライベートでは携帯電話のサイトを通じてバンドのメンバーを募集しています。そこに応募してくるバンドマンたち、予備校で出会う生徒や講師たち、個性豊かな人のなかで、彼が、らせんのすべり台をくるっと一回まわるような…お話です。

 大学生の時に出会った本です。この著者の前作『夏休み』を地元の図書館の新着図書コーナーで知り、作風が好みだったので引き続き手にとりました。

 実は作者は工業大学卒業という経歴。初めて「理系の人が書いた本」と意識して(もちろんそれまでにも理系の作者のものは読んでいたのですが意識はしていなかったのです)読んだ本です。

冒頭には大学の建築概論の講義の様子が描かれ、黄金比と黄金らせんの説明がはいり、数学が苦手な文系大学生の私は少し戸惑いました。ですが「私たちが黄金らせんに心を惹かれる」という登場人物の発言から数学の世界に美しさがあることをそっと教えてくれ、また、主人公の「僕」が炊飯器で4合のお米を炊き、しゃもじできっちり6等分して一食ずつ小分けするのがなんとなく微笑ましく、当時接することがなかった理系の人たちの感覚に触れているようで、読み進めていていくのが楽しかったのを覚えています。

その一方で塾のある生徒の笑い方が「にゅいーん」と表現されていたこと。こんな表現は私にとって衝撃で、でもこの言葉でどんな笑い方か想像できますよね…?日本語ってすごいな、と思ったのも思い出深いです。

 物語はちょっぴり意外な展開にもなるのですが、読後感はさわやか。そしてなんだかほほえましい。新しいことを始めたいとき、前に進みたいのに行き詰まっているとき、自分を肯定したいとき、悩み悩んで決断を終えたとき、そんなときに読んでみてはいかがでしょうか。特に1020代のフレッシュな気持ちを持ったかた(そして持ちたいかた)へおすすめします。
 

3 『クリスマス・ボックス』リチャード・P・エヴァンズ/著 講談社/出版(1995

この季節におすすめの1冊。

仕事に忙殺されていたリチャードと、その妻ケリー、4歳の娘のジェナは、アメリカのソルトレーク・シティにある、大きな古い館に住む一人の老婦人が住み込みのできる夫婦を募集していることを知り、一緒に住むことになります。その老婦人メアリーとの生活を始めたが、暮らしていくうちに婦人はただ身の回りのことをしてくれる人を募集していたのではないことを感じます。そしてこの館の屋根裏にはクリスマスのものを入れるための精巧なつくりの「クリスマス・ボックス」があったのですが…。

 以前一緒に仕事をしたかたにおすすめされ、クリスマスの季節に読んだこの本。古いお屋敷の雰囲気や、上品で穏やかなメアリーの人柄を好ましく思いながら、一番大切なものって何だろう?と考えさせられる作品です。

 この季節、夜更けに、暖かくした部屋でゆったりと読むのがおすすめです。


 
                 次回は浜松市立佐久間図書館 長谷川 陽子 さん  です。 

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