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図書館員の棚から3冊(第40回)(2015/05/22)


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図書館員の棚から3冊(第40回)(2015/05/22)

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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画をご紹介します。
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■第40回目は 静岡県立中央図書館 青木俊明 さん です。■

 
  図書館に異動するまで、私は高校の教員をしておりました。正直に白状しますと、それまでは絵本をほとんど読みませんでした。でも、図書館に来てからは児童担当をさせていただき、また私自身の娘が幼稚園に通い始め、絵本を一緒に楽しむことができるようになったため、たくさん絵本を読むようになりました。私が図書館に異動して、一番よかったと思っているのは娘かもしれません。そんなこともあって、私の本棚ではなく、私の娘の本棚にある本を紹介したいと思います。

1.『ラチとライオン』(マレーク・ベロニカ/ぶん・え 福音館書店 1965年)
 この本は、昨年、クリスマスプレゼントとして送った本です。弱虫なラチがライオンのおかげで少しずつ強くなっていき、最後にはライオンの力を借りなくても、のっぽの男の子からボールを取り返すお話です。読み継がれてきた絵本ですので、皆さんも御存知だと思います。
 我が家は、この春、転居し、娘は幼稚園のお友だちが一人もいない小学校に入学することになっていました。娘も不安だったようで、「引っ越しなんかしないほうがいいのに」と何度も言っていました。自分とラチを重ね合わせたのでしょうか、繰り返し読むようせがまれました。その甲斐あってか、娘は4月から毎日元気に登校し、近所にお友だちもできました。ただ、ライオンに勇気をもらいすぎたのか、娘は空手も習い始めました。ラチよりも勇敢になりそうで、父親としては今後が若干不安です。


 2.『三びきのやぎのがらがらどん』(マーシャ・ブラウン/え せたていじ/やく 福音館書店 1979年)
 こちらも娘が大好きな絵本です。どのくらい好きかというと、本文を暗記してしまうくらいです。今では、読み聞かせをしていると、一番大きいやぎのがらがらどんの台詞を元気いっぱい、とても大きな声で言ってくれ、声だけでトロルを倒してしまいそうです。とても恐ろしいトロルを一番大きいやぎのがらがらどんが完膚なきまでにやっつける話は、スカッとするのだと思います。そして、「チョキン、パチン、ストン」という終わり方もお気に入りで、一緒に声を合わせて読んでいます。
 先日、マーシャ・ブラウンが亡くなったことを娘に伝えると、とても悲しんでいました。マーシャ・ブラウンはおそらく娘が初めて名前を覚えた外国人です。一昨年のクリスマスにはマーシャ・ブラウンの『シンデレラ』をプレゼントされ、こちらもお気に入りで何度も読むようリクエストされます。娘もマーシャ・ブラウンが大好きなようです。

 
3.『うんちっち』 (ステファニー・ブレイク/作   ふしみ みさを/訳  あすなろ書房 2011年) 
 この本は、図書館の先輩職員から教えていただいた本です。何を聞かれても「うんちっち」としか答えないウサギの男の子シモンが、オオカミに食べてもいいか聞かれ、「うんちっち」と答えます。その後は… 
 皆さんの御期待どおり、この本も娘のお気に入りとなりました。幼稚園児はどうして下ネタが好きなのでしょうか。一時、娘もシモンのように何を言われても「うんちっち」、時々気が変わると「オナラブー」しか言わなくなってしまいました。娘が寝言で「うんちっち」と言った時には、本当にどうしようかと思いました。「うんち」という言葉が子どもを惹きつけることもありますが、話のテンポや訳のリズム、絵の色使いも子どもを惹きつけるのだと思います。この絵本も、親子で楽しむことができる一冊です。
  以上、我が娘のお気に入りの3冊を紹介しました。最後に娘の名誉のために申し添えますが、私の娘はラチよりも勇敢になりそうで、トロルを声だけで倒せそうで、下ネタ好きですが、とてもかわいらしい女の子です。


        
次回は静岡県立中央図書館 所 康俊  さん です。

 

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