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図書館員の棚から3冊(第30回)


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図書館員の棚から3冊(第30回)

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 図書館員の本棚拝見!
 このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画をご紹介します。
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■第30回目は 袋井市立袋井図書館 別所 由輝子 さん です。

「旅と冒険」をテーマに本を3冊紹介します。

 
1.『旅の絵本1』(安野光雅/著 福音館書店 1980年)

 最初に紹介するのは、シリーズも多数でている安野光雅さんの絵本です。
 「旅と冒険」をテーマに本の紹介をしようと思った時、最初に頭に浮んだのがこの絵本です。なぜかといいますと、幼い私がこの絵本を開いたとき、とても驚いた記憶があるからです。その理由は、ページをどれだけめくっても文章がないからです。
 文が一切なく、絵のみで描かれているこの絵本は、当時の私にとってとても新鮮でした。初めは、きれいだな、この絵はどこの風景だろうと考えながら読み始めましたが、絵を良く見ているうちに絵の中に隠された物語等に気づきました。隠し絵やだまし絵がいろいろなところにある為、同じ本を2冊借りて前のページと次のページを比べて読んだこともあります。読み返すごとに発見があり、何度も楽しめる絵本です。
 友達と絵について考えながら読んだり、絵を見てその場所について考えてみたり、この絵はこんな場面だろうと物語を自分で考えてみたりといろいろな本の楽しみ方を教えてくれました。
 読み終わった後、もう一度読みたいという気持ちが湧いてくる、大人にも子供にもおすすめの一冊です。


2.『エルマーのぼうけん』 新版
(ルース・スタイルス・ガネット/さく  ルース・クリスマン・ガネット/え
わたなべしげお/やく  福音館書店 2002年)

 「エルマーのぼうけん」は、少年エルマーが知恵と勇気で活躍する物語です。
 このエルマーが出てくるシリーズは有名な為、皆さんも図書館や本屋さん、または学校の図書館で一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
 その中でも、私が特におすすめするのは「エルマーのぼうけん」です。
 シリーズ1冊目の「エルマーのぼうけん」は、どうぶつ島で囚われの身となっているりゅうの子をエルマーが救出するストーリーです。エルマーが島に持っていく持ち物は棒つきキャンディーやガム、輪ゴム、くしなど、とても危険な冒険へ向かうとは思えないものばかりです。
 子どもの頃、これでどうやってりゅうの子を助けるのかなとハラハラしながら読みました。
 この本の中で一番の見どころといえば、動物達とエルマーのやりとりです。知恵を使って危ない場面をなんとかしてしまうエルマーの姿は子ども心に痛快でした。また、すてきな挿絵もお話を盛り上げてくれます。ライオンやゴリラ、ワニといった本に描かれている動物達のなんともいえない表情や、エルマーが森に隠れている様子等に注目して読んでいただけたらと思います。
 尚、同じシリーズの「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」も是非どうぞ。


 3.『十五少年漂流記』 改訂新版
 (ジュール・ヴェルヌ/著 横塚光雄/訳 集英社 2009年)

 別のタイトルで「二年間の休暇」とも呼ばれる、ジュール・ヴェルヌ著の冒険小説です。
 15人の少年達は夏休みの沿岸航海を楽しみにしていました。しかし、事故の為、ニュージーランドから嵐の海に漂流し、とある島に流れ着きます。ここは大陸なのか島なのか不安を感じながら少年達はいくつかの発見の後に、ここが無人島、しかも近くに陸地などがない孤立した島だと認識します。慣れない無人島生活の中、少年達は戸惑いながらも、自分達の代表として大統領を決めたり、食糧を集めたりと工夫を重ねて生活をしていきます。しかし、フランス人とイギリス人の子どもが対立。そして多くの苦難が少年達を襲います。彼らは無事家に帰ることができるのでしょうか?
 この小説はストーリーも、もちろんおもしろいのですが、少年たちの心の動きがしっかり書かれており、リーダーに相応しい人間とはどういった人間か、勇気や責任とはなにかなど考えさせられるところがあります。少年達の人間関係やそれぞれの悩み、そして成長が無人島生活を通して描かれています。少年達は日本の学生ではありませんが共感できる場面がたくさんあると思いますので、是非15人の少年と同世代の学生の皆さんに読んでほしいと思います。

 
      次回は磐田市立竜洋図書館 星井 とし子 さん です。
   
 

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