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図書館員の棚から3冊(第25回)

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 図書館員の本棚拝見!
 このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画をご紹介します。
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■第25回目は 伊豆市立修善寺図書館 秋山 泰子 さん です。

1.『図書館の(あるじ)1~8』 (篠原 ウミハル/著、芳文社 2011年~)
 
 何か読みごたえのあるマンガが読みたいなと思い、本屋さんで手に取ったのがこのシリーズです。主人公の
御子柴(みこしば)貴生は、子どもの頃さびしさを紛らわすために来ていた、地元の図書館で、定年間近の司書 徳(とく)さんに出会います。父親の書斎にある大人の本しか読んだことのない彼に、徳さんは児童書の楽しさを教えてくれます。閉館時間まで夢中になって読む彼に「ここは図書館なんだから、借りて帰ればいい。読み終わったら返してまた借りればいい。」と言います。その時の御子柴少年の表情、マンガならではの表現で、うまいなと思います。
 その徳さんも公務員の定め、異動で図書館から去ってしまいます。けれども、少年の心には徳さんへの愛着と、徳さんから教えられた本を読む楽しさ、幸せな気持ちがしっかり残っているのです。少年は、今度は自分が徳さんに代わって、自分の知識や愛情をみんなに届けたいと思うようになります。それができる司書という仕事は幸せだと気づき、徳さんのような司書をめざすのです。このシーンは泣けます。私も徳さんと同じ立場なので、なおさらせつなくなりました。
 ここから先は、ストーリーに併せて疑似体験をしているように、数々の児童書が登場します。昔読んだ本、読み忘れた本など、もう一度読んでみたくなるかもしれません。私も何冊か図書館で借りて読み直しました。中でも、ルナールの「にんじん」は特に気になった作品です。
 私が小学生の頃、マンガと本、どちらがいいか討論したことがあります。マンガばかり読んでちっとも本を読まない、マンガはよくないと言われ続けてきましたが、「図書館の主」は両方のいいところを合わせて化学反応を起こしたような、とても魅力的な作品です。このマンガを読めば児童書が読みたくなる、まるでブックトークを受けた気分になれます。

 
2.『母という病』 (岡田 尊司(たかし)著、ポプラ社 2014年)

 この本も本屋さんで見つけました。新書版で、桃色の幅広い帯にある、無表情の女性のイラストと「母親という十字架に苦しんでいる人へ」という文字に惹かれました。
 私は、最初、母親として生きる苦しみを共感できることを期待して、この本を選んだのですが、そうではありませんでした。仕事や自分の都合を優先して、子どもに寂しい思いをさせてしまう母親、友達感覚を自慢して、ずっとこの関係がいいと思い込んでいる母親、完璧を求めすぎる母親、子どもにべったりで、子どもの意思に関係なくすべて決めてしまう母親など、母親の都合で振り回され、そこから抜け切れずに苦しんでいる子どもたちをどのようにして救い出せるかを解いた本なのです。
 「この世に唯一変わらないものがあるとしたら、それは母親に愛されたいという子どもの願いかもしれない。」あとがきの中で、著者はこう語っています。幼い頃、母親から与えられるべき愛着がしっかりもらえていれば、どんなに遠くはなれていてもその安心感で成長できるというのです。
 でもそれが叶わない子はあまりにも多い。この本に出会って読み進むうちに「あぁ、にんじん。そうだ、これだ!」私は本を読みながら何度もうなずいてしまいました。ルナールの「にんじん」。お母さんにひどい仕打ちをされても、抗議もせず、じっと耐えるにんじん少年。実は、改めて読んでも消化不良のような気がして心残りだったのです。ところが、しばらくして、この本に出会って読み進むうちに、にんじんのお母さん、そしてにんじんが理解できたのです。「図書館の主」「母という病」2冊のおかげで長年理解できなかった本の内容が呑み込めました。新たな経験でした。

 
3.『ばらとゆびわ』(サッカレイ/原作、村岡 花子/文、日本書房 1978)

  先日、家で別の本を探していたら、偶然懐かしい本を見つけました。小学文庫2、3年シリーズの1冊です。村岡花子さんはじめ、多くの執筆陣が子どもたちのために、世界のいろいろな児童書を翻訳しています。
 このおはなしは、パフラゴニヤとクリム・タタリという二つの国に起きる奇想天外な冒険譚です。魔法使いのくろづえ、ライオンに育てられたロサルバ姫、ちょっときまぐれなギグリオ殿下、鉄のノッカーにされてしまった門番のグラハナフなど、読み出したら止まらないおもしろさです。ばらとゆびわは何の役目をしているのでしょう?それはぜひ読んで確かめてみてください。ただし、この作品は現在出版されていません。図書館でさがすしかないと思います。
 「同じ本を同じ気持ちで読める人とは、なんだか仲良くなれる気がする。」と図書館の主の8巻に書いてありますが、このおはなしで共感してくれる子どもたちが増えたらいいなと思います。だからこそ村岡花子さんブームで「ばらとゆびわ」が復刊してくれることを願っています。


 

       次回は 三島市立図書館 佐野 裕美  さんです。
    
         
 

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