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図書館員の棚から3冊(第18回)

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 図書館員の本棚拝見!
 このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画をご紹介します。
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■第18回目は 静岡県立中央図書館 牧田 佳子 さん です。

1.『チップス先生さようなら』
(ヒルトン/著 菊池重三郎/訳 新潮社(新潮文庫)1956年初版1987年改版)

 新語・流行語の2013年間大賞に選ばれた「じぇじぇじぇ」、同WebサイトによればNHKの朝ドラ「あまちゃん」の中で多用され話題になった言葉で、驚いたり戸惑ったりするときに発する岩手県三陸地方の方言とのこと。マンガの音喩のようでインパクト大だと思っていたが、あるとき、置いたはずの場所に書類が見つからず、「げげげっ」と口に出している自分に気が付いた。もしかしたら「げげげ」が岩手県三陸地方では「じぇじぇじぇ」なのかしら?などと思い巡らしていたときに浮かんだ1冊

 チップス先生は伝統あるパブリック・スクール、ブルックフィールド校のレジェンド、古ぼけてぼろぼろのガウン、やさしい眼差し、洒落の名人、退職後は学校から道一つ隔てた家に部屋を借りて住んでいる。運動場をぶらついて競技を見たり、生徒たちと言葉を交わしながら。学校の歴史とともにあった人生、教え子たち、妻のこと、学校生活に影を落とした第一次世界大戦などの歴史も時には織り交ぜながら、回想と現在を行きつ戻りつ物語は紡がれていく。

 なぜ「げげげ」が「じぇじぇじぇ」なのか、は本書を御一読あれ

 
2.『自由と規律-イギリスの学校生活-』 
 (池田潔/著 岩波書店(岩波新書青版171949年初版1963年改版)

 『チップス先生さようなら』を読んで、またハリー・ポッターシリーズや最近人気のコミックスで、イギリスの寄宿学校生活に興味をもたれた方にもお勧めな1

 著者の池田氏は1903年生まれ、イギリスのパブリック・スクール、リース校に留学し、その後ケンブリッジ大学に進学した。上流階級の子弟が多く入学する学校だと思われるので、さぞや優雅な学校生活あろうと思うとさにあらず、食事は質素で常に空腹、寄宿舎で就寝時に与えられるのは真冬でも毛布のみ、窓は全開と、その生活はスパルタ式でイメージとはかけ離れている。1949年に初版が出版されてから今日まで、読み継がれ、ベストセラー、ロングセラーとなっている。

 本書のタイトルである自由と規律について、次に紹介する橋本武氏の著書に期せずして触れている文章があった。

 「自由とは放縦の同義語ではありません。自由を育てるものは規律であり、自立の精神であることを思えば、伸びざかりの時期に、可能性へのトレーニングに打ち込むことが、若者だけの持つ輝かしい誇りといってよいでしょう」

この文章を読むと、次に紹介する本の意味もまた深いものになる。

 
3.『〈銀の匙〉の国語授業』
  
(橋本武/著 岩波書店(岩波ジュニア新書7092012年)

 原稿執筆の予定を聞いて3冊のうち2冊はなんとか決められたが、あと1冊が困った、と思っていたときに、見るとはなしに見ていたテレビから橋本武氏のドキュメンタリー番組の紹介が流れた。土壇場にはアンテナのようなものが高くなって、そこに何かしら降りてくるものがあるらしい。『チップス先生さようなら』の解説には、締切間際にイライラした著者ヒルトンが自転車で走り回っていた時に小説の着想を得た、とある。

 チップス先生がイギリスのパブリック・スクールの名物先生なら、橋本氏は日本の私立男子校の名物先生である。超有名進学校灘校の国語の授業で、教科書を使わずに中勘助作『銀の匙』を3年間かけてじっくり読み解く授業を50年間続けられた。

 『銀の匙』は中勘助氏の幼年期、少年期を描いた自伝的な小説といわれている。本書には、なぜ『銀の匙』を授業で取り上げたか、指導要録がないため1年も前から準備を始め「研究ノート」を作ったこと、分からないことを中勘助氏本人に手紙で問い合わせたエピソードなど、『銀の匙』授業のエッセンスが詰まっている。味のある直筆のあとがきに、若い方々に「この本を書いた人が、年配の人にも読んでもらいたがっているよ」と勧めていただきたいとある。すでに若者ではなく、どちらかというと年配の方に属する私であるが、今回の3冊に加えて紹介させていただいた。


    次回は静岡県総合教育センター図書室 飯島 美智子 さんです。

    

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