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図書館員の棚から3冊(第17回)

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 図書館員の本棚拝見!
 このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画をご紹介します。
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■第17回目は 静岡県立中央図書館 福石 妙子 さん です。

私の本棚の中から、「大切にしている本」、「おススメの本」、「最近再読した本」をご紹介します。


 1.『やこうれっしゃ(こどものとも傑作集)』
  (西村繁男/さく 福音館書店 1983

  電車の旅は私の楽しみの一つです。中でも寝台列車で行く旅は、“非日常”のぜいたくな時間を過ごせる、とっておきの楽しみだったのに、寝台車が次々姿を消していってしまったのは本当に残念でなりません。
  この本は、夜行列車が上野駅を出発してから、翌朝、雪の降り積もる北陸の駅に到着するまでの様子を描いた字のない絵本です。子どもたちが幼かった頃、図書館から借りて一緒に読んで以来、すっかり魅了され、その後しばらくの間、我が家の夏休みの家族旅行は、寝台列車の旅が続くことになりました。
 この本は、見ているだけで上野駅の雑踏の様子、旅の始まりの高揚感、真夜中を走る機関車の音などが伝わってきます。そして、乗客たちの会話さえも聞こえてくるような気がしてくるのです。昭和の時代のなつかしい風景が描かれたこの本は、大切にしたい記憶が詰まっている大好きな一冊です。
 

2.『風雲児たち ワイド版』全20巻、
  『風雲児たち 幕末編』23巻まで刊行中 (みなもと太郎/著 リイド社) 

 おススメ本として紹介するのは、知る人ぞ知る歴史マンガの大作『風雲児たち』です。この作品のテーマは「幕末の風雲児たち」ですが、幕末を描くには、そこに至るまでの歴史を描く必要がある、と物語は関ヶ原の戦いから始まりました。1979年に始まった連載は今なお継続中。2013年、ようやく、桜田門外の変、遣米使節の太平洋航海にまでたどりつきました。
 この作品の一番の魅力は、生き生きと描かれた人物像。歴史上の人物が次から次に、個性あふれるキャラクターとして登場します。前野良沢、高山彦九郎、大黒屋光太夫、高野長英、平田靱負、佐久間象山、江川太郎左衛門、村田蔵六などなど、これまであまり深く知る機会のなかった人物も数多く取り上げられ、彼らがその時々に何を考え、どう行動したか、その生きざまが描かれています。随所に“ボケ”あり、“ツッコミ”ありのテンポのよい展開にのせられ読み進めていくうちに、一つひとつの出来事が絡み合い、幕末の大きなうねりとなっていく歴史の面白さに夢中になってしまいました。
 これだけの深い内容を、ときに心に沁みるエピソードを交えながら面白く、楽しく読ませてくれる作品は他にないのではないかと思います。是非、第1巻から通して読んでみてください。歴史への興味が高まること間違いありません。

 

3.『定家明月記私抄』 『定家明月記私抄 続篇』
  (堀田善衞/著  新潮社  19861988)  *文庫版 (ちくま学芸文庫  1996

 時々、堀田善衞さんの文章が読みたくなります。この本は、単行本が刊行された当時に読み、その内容の奥深さに圧倒され、いつかもう一度じっくり読みたいと思っていたものです。先日、書架点検をしていた時に文庫版になっていたのを見つけ、早速借りて再読しました。
 『明月記』は藤原定家の漢文日記。この本はこの日記を堀田さんが丹念に読み解いていったものです。定家といえば「新古今和歌集」や「小倉百人一首」の撰者であり、“歌聖”と仰がれる大歌人ですが、日記に映し出されたその実生活は、身体の不調に悩み、思うように出世できないことに不満を抱き、貧しい暮らしを嘆くといった日々。偏屈で気位が高く、激しやすい、それでいて結構したたかな人であったことが伝わってきます。
 それにしても定家の生きた平安末から鎌倉期にかけては、政変、天変地異、飢饉、大火などが重なって、政治も人心もひどく乱れた乱世の時代。定家の幽玄歌は、そんな状況の中で詠まれたものであることに改めて気付かされました。こんな荒んだ世の中で詠まれる歌は、現実の実感から切り離された技巧の歌にならざるを得ず、定家の歌は人工の極致にまで達した高度な文化の産物である、という著者の考察には深く考えさせられるものがあります。
 単調な日常生活の記録から、定家の人となりやその時代背景、政治的背景を読み解き、和歌論、文化論までをも考察する堀田善衞さんの緻密な読解力、観察眼に敬服しました。また時々読み返してみたいと思う一冊です。


      次回は静岡県立中央図書館 牧田 佳子 さんです。

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