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図書館員の棚から3冊(第6回)


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図書館員の棚から3冊(第6回)

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 図書館員の本棚拝見!
 このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画をご紹介します。
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■第5回目は 菊川市立図書館菊川文庫 村岡 泰行 さん です。

 
◆『ギンギラ★落語ボーイ』(三遊亭白鳥/著 論創社 2011年11月)

 この本が面白いと聞き、購入してみました。登場人物も個性的で、どんどん引き込まれて行きました。
 物語の主人公は若手二つ目落語家の銀月亭ピョン太。古典落語への愛は人一倍ですが、次から次への試練があり、仕事がなくて超貧乏者。売れない焦りと、仲間への嫉妬に暮れる毎日のピョン太。ホンモノの落語家になるために、自分には自信を持っているが、芸は今一つで独りよがりなピョン太を見かねて、常連の居酒屋「赤達磨」の店主が進めた修行先は、「北椎名町憩いの家」。そこで出会ったあひるや、牛の娘や、憩いの家のスーパー年寄りたちや師匠もみんな魅力的な人物です。そして、ピョン太の心に変化が現れて行きます。
 次は?次は?と気になり、一気に読んでしまう、さわやかな成長物語です。現役落語家だけが書けるエンタテインメント芸道小説で、続編が出たらなお良いと思いました。

 
◆『ロング・グッバイのあとでーザ・タイガースでピーと呼ばれた男』
(瞳みのる/著 集英社 2011年2月)

 昭和歌謡の中核、グループサウンズ(GS)の雄、ザ・タイガースのドラマー、瞳みのるさん(本名:人見豊)のエッセイ本です。
  ザ・タイガースは、芸能界に1967年~1971年の4年間活躍し、超人気グループのまま解散しました。ご本人の瞳みのるさんは、解散公演のその日のうちに荷物をまとめ京都に帰り、次の人生設計をスタートされ芸能界を引退しました。その後、40年近くメンバーや公の場に一切顔を出さず音信不通でもありました。そのドラマーのピーこと瞳みのるさんの幼少時からデビュー前・ザ・タイガース時代の4年間・解散後・そして現在までの事が書かれたもので、小学校・中学校・高校時代の音楽好きの仲間(ザ・タイガースのメンバー)と40年ぶりに邂逅して、メンバーとの友情と真実が分かる本です。ご本人は「人生を2倍生きて、感謝」と書いていますが、読んでみると普通の人の3倍以上の人生を生き、そして感謝を忘れない方だと思いました。こんな人生が送れたら最高だと思います。グループサウンズ(GS)世代には是非、読んでもらいたい一冊です。

 
◆『しげちゃん』(室生 滋/著 長谷川 義史/絵 金の星社 201212月)

 女優でエッセイストでもある室生滋さんが、幼少期に自分自身の「しげる」という名前に向き合っていく姿を描いた絵本です。私自身、「女性なのにシゲルか…」って思っていました。しかし、親は遊び半分に名前を付けたりはしないし、子どもの「名前」に込められた親の深い愛情が見えてきます親の思いと、子どもの気持ち、そして、親が子どもにこめた名前への願いは、切なるものがあるのだと感じました。
 幼少時に亡くなった室生滋さんのお兄さんへの思いと、豊かな人生を送れるようにたったひとつの名前をつけて慈しむという事を知れば、子どもは名前に愛着と誇りを持てるのだと分かりました。とにかく、笑って泣いて元気が出る絵本です。
 室生滋さんが女優になってからは、いくらでも好きな芸名を付けられるのに、「しげる」のままなのはこの名前が好きになったという事なんだと感じました。又、この絵本には付録で「名前パレード」という歌の歌詞と楽譜が付いていますので、おはなし会で絵本を読んだ後、歌も紹介出来ますので一度読んでみてください。


      次回は 御殿場市立図書館 佐藤 典子 さん です。

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