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図書館員の棚から3冊(第10回)


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図書館員の棚から3冊(第10回)

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 図書館員の本棚拝見!
 このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画をご紹介します。
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■第10回目は 長泉町民図書館 米山 智美 さん です。

  紹介したい本はたくさんあるのですが、いざ3冊を選ぼうとすると、非常に難しいです。
 今回は、「大人になって読み返してみて、懐かしさや新たな感動を覚えた」児童書から3冊紹介させていただきます。

◆絵本『からすのパンやさん』のパンをつくろう!
  文化出版局編 文化学園文化出版局 2009

 ロングセラーでもある『からすのパンやさん』。昨年、静岡県書店大賞(児童書名作部門)を受賞したので、読み返したという方もいらっしゃるでしょうか。
 久し振りに目を通し、「とってもすてきな、かわったかたちの、たのしいおいしいパン」がたくさん描かれているページを見て、子どもの頃「こんなパンがあったらいいな」と思ったことを思い出しました。
 そんな思いを実現させてくれそうなのが本書です。この本の存在を知ったのは、図書館で働くようになってからですが、見た瞬間、「これはすごい!」と感動を覚えました。まさか、あのページに載っているパンを全部作ったとは!
 子どもと一緒に目次を見ながら、作りたいものを選ぶのもよし、それぞれ難易度も掲載されているので、自分の技量に見合ったものを作るのもよし。からすの子どもたちの羽根の色にちなんだジャムとクリームの作り方も載っていて、『からすのパンやさん』の世界がより楽しめる仕上がりになっています。
 もし、私が作るとしたら…パンだと生地の発酵を待つのが大変なので、クッキー生地で作るかもしれません。あるいは、紙粘土を使って、マグネットをくっつけて使うのも楽しそう。こんなことを言っていると、「図書館の展示用に何か作れ」という声がどこかから聞こえそうですが…。


◆『ぐるんぱのようちえん』 
  西内みなみさく 堀内誠一え 福音館書店 1966

 幼稚園の頃、よく先生が読み聞かせをしてくれた本です。たぶん、他にもいろいろな絵本を見ていたと思うのですが、この本が最も印象に残っています。
 ひとりぼっちで暮らしていた、ぞうの「ぐるんぱ」。さみしくて泣いてばかりでしたが、仕事を探しに出かけます。いろいろな仕事に就くものの、作るものがすべてビッグサイズで使い物にならないので、すぐクビに。最後に行き着いた場所で、子どもの面倒を見ることになり、それがきっかけで幼稚園を開きます。作ったものも活用でき、子どもたちも大喜び。
 小さい頃は、「ぐるんぱ、さみしくなくなって、よかったね」と思っていましたが、大人になって読み返してみたら、「ニートが転職を繰り返して、天職を見つける話にも見えるな…」と、つい深読みをしてしまいました。
 頑張れば、いつかは芽が出る。そんなメッセージを、ぐるんぱは送ってくれているのかもしれません。私も、ぐるんぱに負けないように頑張らなくては!


◆『はばたけ流星』 福川祐司著 市川禎男画 金の星社 1976

 小学生の頃、何度も繰り返し読んだ本です。ウミウの「流星」が鵜飼いをする話…ですが、それしか覚えていなくてタイトルもあいまいだったので、今回の執筆を機に探し出しました。
 多摩川で鵜飼いをしている、鵜匠の弥平のもとへやってきた流星。なかなかなじもうとしなかったのですが、弥平の娘・千代のやさしさに触れ、少しずつ人間に心を開いていきます。千代は自由に空を飛べない流星を不幸だと思い、こっそり逃がそうとするのですが…。
 改めて読み返して、流星を取り巻く人を通じて、何が大切なのかを学ばせてもらいました。ただ、今だからそう捉えることができるのであって、子どもの頃は鵜飼いに対する興味だけで終わっていた気もします。
 ラストは、意外な結末。何度も読んでいた割に、流星がどうなったのかを覚えていなかったので、涙ボロボロになりながら読みました。
 ちなみに、この本を現在の勤務先である長泉の図書館で借りたとばかり思っていたのですが、自館には所蔵なし。小学校で借りたのかもしれません。記憶は当てにならないものですね。

    
   次回は  静岡県立大学附属図書館 児玉 匡史  さん です。 


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