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図書館員の棚から3冊(第0回)


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図書館員の棚から3冊(第0回)

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 図書館員の本棚拝見!
 このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画をご紹介します。
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■第0回目は  静岡県立中央図書館 安田宏美 さんです。

1.『くだもの』 平山和子・さく/福音館書店/1981年

 すいか、もも、なし、りんご、いちご…。
 この絵本に出てくるくだものは、まるで本物?と思うほどリアルに描かれていて、何度見ても飽きません。 
 特に私が好きなのはトップバッターのすいかです。この張りがよくて、叩いたらポンポンといい音がしそうなすいかを見ると「切ったらみずみずしくて美味しそうな果肉が出てくるに違いない!」と毎回毎回飽きもせずに思います。
そして、次のページでは期待通り、美味しそうな真っ赤な果肉のすいかがお皿の上に、さらにフォークまでご丁寧に添えて「さあどうぞ」とすすめてくれるのです。これはたまりません。この絵本を図書館でのおはなし会でよく使いますが、この絵の魅力に子ども達が引き込まれているのを毎回感じます。
 とてもシンプル絵本ですが、30年以上子ども達に愛されているというのも納得の1冊です。


2.『地球生活記-世界ぐるりと家めぐり』
  小松義夫/福音館書店/1999年刊

 もしあなたが、洋服だんすが欲しいと思ったらどうしますか?
 普通ならお店で買う、木材などを買ってきて自分で作る、という選択肢が思い浮かぶでしょう。でも、世界には壁に穴を掘って作る、という地域があるのです!
-オーストラリアのクーパー・ピディーという町では、オパールを採る人たちが地面に穴を掘り、地下に住んでいます。新しい部屋や出窓、タンスが欲しい、と思ったら掘削機で穴を掘って作ってしまうのだとか。地下の室内は白い壁で落ち着いた雰囲気、温度も一定に保たれ快適なようです。こんな素敵な家、一度住んでみたいものです。
 この写真集にはアフリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、アメリカと、世界中の地域の家々が紹介されています。人のいるところには必ず住む家がありますが、場所によってこんなにも違うのか!と驚いてしまいます。それぞれの土地の事情により、泥や牛糞、竹、木など家の材料や、土に穴を掘る、岩壁を利用するなど家の作り方も様々、家々が作り出す町並も様々です。100以上の家が紹介されていますが、どれも本当に個性的。
 あなたのお気に入りの家を見つけてください。


3.『ポケット詩集』(1998年刊)
  『ポケット詩集 Ⅱ』(2001年刊)
  『ポケット詩集 Ⅲ』(2004年刊)(以上、童話屋/田中和雄・編)

 『ポケット詩集』の最後に収められている茨木のり子さんの「自分の感受性くらい」を初めて読んだのは、小学生の頃でした。
 当時は最後の「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」という部分が強烈で、唐突に怒られた気分になり、「気に入らない詩だ」と思っていました。きっとこの詩人は子どもを頭ごなしに怒る面倒くさい人に違いない…。再び読んだのは15年後です。その時の、まぁ沁みること沁みること!これって自分を叱っている詩だったんですね、分からなくてゴメンナサイ。子どもの頃には嫌いだった先生が、大人になってから「あの先生って今思うと良いこと言ってくれていたな」と気づく、、、そういう感じに似ているかもしれません。
 今回改めて3冊読むと、やっぱり良いと思った詩、以前は何とも思わなかったけど今回は良いなと思えた詩、今回も何とも思わなかった詩等々、様々な出会いを再体験しました。
 疲れていて長い文章を読むのはしんどいという方、詩を読むのはいかがでしょう。書かれている文字が少ないので、読もうと思えばすぐに読むことができます。でも、決してお手軽ではなく、「瞬時に一人の人間の魂を、稲妻のように見せてくれる」(『ポケット詩集?』の前書きより)のです。声に出して読むとさらに良いかもしれません。

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