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リレーエッセー(第199回)


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リレーエッセー(第199回)

「こんな図書館にしたい」「私の出会った図書館員」「心に残るこの1冊」など、図書館員の“おもい”をリレー形式で紹介していきます。

■第199回目は  富士宮市立中央図書館 高瀬 一樹 さんです。

     ロックボーカリスト・森重樹一(もりしげじゅいち)さんの楽曲に「LOOKING FOR MY PARADISE」というものがあります。「列に並べば買える幸せに興味は無い、俺は俺だけの、誰のとも違うパラダイスを探している…」と歌い上げる名曲です。

 さて、他の誰かと違う、自分のお気に入りのものや必要な情報を探すという行為は、一昔前より容易になったように思われます。GoogleAmazonはその人が求めていると思われるものを即座に提示し、SNSを探れば嗜好が似た人々の意見を参考に、自分の世界を更に広げることもできます。

 しかし、そこで得られる情報には、あくまで「利用者が目下のところ興味を抱いているもの」というバイアスがかけられています。これにより世界の広がり具合が制限されていることは否めないでしょう。

 未知なる世界と思いがけない出会いを果たせる、そういった点では図書館の書架をブラウジングすることに勝る情報収集手段は無いのではないでしょうか。

 資料の海を手探りで巡るうちに、求めているのとは違う一冊に何故か心惹かれること、予想だにしなかった情報との出会いがあることはブラウジングの醍醐味です。そして、寄り道で見つけた思いがけない場所に「俺だけの為のパラダイス」が隠れていることは案外多いのではないか、と思うのです。
 
 利用者の誰もが自分だけのパラダイスへの扉を開くことができる、そんな図書館づくりに貢献していきたいです。

       次回は 静岡県立中央図書館 谷野 純夫 さんです。 

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