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リレーエッセー(第149回)

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リレーエッセー(第149回)

「こんな図書館にしたい」「私の出会った図書館員」「心に残るこの1冊」など、図書館員の“おもい”をリレー形式で紹介していきます。

■第149回目は 熱海市立図書館 水谷 奈穂子さん です。

 「これじゃ人も予算ももらえないでしょ。」
 私は図書館に異動して2年目になるが、その4年前にも1年間在籍したことがある。そのときの率直な感想だ。
 精神的にきつい部署から異動してきて、ホッとしたのもつかの間、周りの愚痴が気になりはじめた。人がいない、お金がない=だからいい仕事はできない……。だからといって具体的な行動はおこしていない。
 行政側が思っていることはこんなところだろうか。図書館は誰にでもできるラクな仕事で、創造的な仕事は何一つしていない。金がかかるが金を生み出さない。だから人も予算も優先順位が低い。
 そんな図書館(全部とはいわない)が、全国的に行政改革の対象となっている。至極当然のはなしである。
 しかし、直営でなくなり、そこが文化的資産価値を見出さない受注先であったら、その貴重な資産の扱いがひどくなる恐れもある。当館は当時熱海に在住していた坪内逍遙博士の寄贈本が元として創立されたのだから、由緒ある書物もたくさんある。経営という視点から効率を優先すれば、そういった貴重書の行方が危ぶまれる。
 図書館はその仕事の広報不足を改善しなければならない。蔵書点検中、職員も休んでいると思われているのはその典型だ。
 図書館の仕事、資産(資料)の運用方法の工夫、益する情報の提供、市民や行政イベントとのコラボ等、「役立ち度」をもっと工夫し、アピールしなければならない。公立図書館は税金で成り立っている「みんなのハコモノ」だ。それを創意工夫し、活用する企画力、他部署との連携する柔軟さは、レファレンス力とともに、これからの職員に最も求められるところであろう。
 町の図書館はその町の文化や歴史を詰め込んだ精神的支柱である。豊かにするもしないも職員そして市民自身の手にかかっている。

  次回は 伊東市立伊東図書館 平澤 隆二さん です。
 

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