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2017年6月の貴重書展示

教科書は近代化の母

明治時代になると、「文明開化」の風潮の中で、欧米諸国の近代的な政治、文化、地理、地誌、思想等を記した本が出版されました。テレビやラジオもない時代、人々の欧米諸国に対する興味も尽きず、多くがベストセラーとなっています。中でも『西国立志編』『西洋事情』『輿地誌略』の3冊は、その販売数の多さから「明治の三書」と呼ばれています(*)。

また、これらの書籍は、欧米諸国の思想や社会制度を学ぶための教科書としても使われました。本展示では、日本が近代化を目指した時代に、教科書としても使われた資料を紹介します。

(*)石井民司著.中村正直伝.成功雑誌社,1907,p.66.

『輿地誌略』より

展示期間・場所

期間 6月1日(金)~28日(木)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室 貴重書展示コーナー

展示資料一覧

書名等 画像 略説
159/107
『西国立志編』
『西国立志編』画像

中村正直が幕末ロンドンに1年半滞在し帰国する際、友人フリーランドから贈られたスマイルズ著の『Self‐Help』を訳したものです。この本の初版は静岡で出版され、明治期を通じ、国民的教科書の役割を担いました。

K080/35
『西洋事情』
『西洋事情』表紙画像

福沢諭吉がアメリカとヨーロッパ諸国への渡航経験をもとに、欧米諸国の政治・経済・教育等の制度や理念、様々な文明の利器等を解説したものです。西洋の進んだ文化に国民は衝撃を受け、政策にも大きな影響を与えました。

K083/139
『輿地誌略』
『輿地誌略』表紙画像

内田正雄が4年間オランダに留学した経験をもとに編集された本格的な世界地誌です。世界地誌の総説から、各地域の歴史・文化について述べられています。異国の風景や風俗を活写した豊富な挿絵が魅力です。

291/408
『日本地誌略』
『日本地誌略』表紙画像

全四巻の構成で、日本各地の地理や産物等を簡潔に説明しています。統一した体系立てや記述方法など革新的な要素もありましたが、きちんとした教材観がないなどの課題も指摘されました。

290/188
『万国地誌略』
『万国地誌略』表紙画像

『日本地誌略』と並行して文部省が刊行した世界地理の教科書で、外国で出版された地誌を編集して作成されました。国別の地誌の解説が主で、豊富な挿絵を含んでいます。

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