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2017年3月の貴重書展示

『獨逸單語篇』画像

葵文庫と辞書

『葵文庫』とは当館の特殊コレクションのひとつで、江戸幕府が収集した書物3,586冊からなります。その中でも西洋の書物は2,325冊と3分の2以上を占めますが、それは19世紀以降、幕府は欧米列強に対抗するため、西洋の技術や知識を積極的に入手する必要があったからです。

そのような理由から、葵文庫所蔵の洋書には工学や兵学のような技術書の割合が高いですが、仏蘭辞典などの辞書類も多く含まれています。当時、日本にはオランダ語の堪能な蘭学者は多くいましたが、当時の先進国であるイギリス・フランス・ロシアの言語が分かるものはほとんどいませんでした。そこで、仏蘭辞典や英蘭辞典などオランダ語との対訳辞書を積極的に入手し、それらを底本に日本語との対訳辞書を編さんし、洋書の翻訳を行いました。

近代における日本の急成長の裏には、このような辞書の収集や編さんがあったことを忘れてはいけません。

展示期間・場所

期間 3月7日(火)~5月8日(月)

場所 静岡県立中央図書館 閲覧室 貴重書展示コーナー
(期間中、資料を入れ替えて展示します)

展示資料一覧

画像をクリックすると、当館デジタルライブラリーの該当資料もしくは拡大画像が表示されます。

書名等 画像 略説
AN266
【葵文庫】
『A New pocket-dictionary of the English and Dutch languages』
(和訳:新ポケット蘭英辞典 )
『A New pocket-dictionary of the English and Dutch languages』画像

ピカード編集の本書は、日本最初の英和辞典『英和対訳袖珍辞書』の底本として使われました。オランダ語の知識を活かした英語の学習や、英和辞典を編纂するために英蘭・蘭英辞典が使われました。

AG019
【葵文庫】
『Kanban doitsutangohen』(和訳:官版独逸単語扁)
『獨逸單語篇』画像

日本最初のドイツ語辞書で、木版刷り25丁の和綴じ本です。

22のジャンルに分けられて、1,879語(重複あり)の単語等が収録されています。当館所蔵本には、4ページまでの92語に訳語が朱書されています。

AE229
【葵文庫】
『A complete dictionary of the English language』(和訳:完全英語辞典)
『日本幽囚実記』原作画像

ウェブスター辞書は、幕末から明治時代にかけて英和辞典だけでなく『言海』のような国語辞典の編纂にまで大きな影響を与えました。編者のウェブスターは、数十年の調査を実施して1806年に初の辞典『簡明英語辞典』を出版しました。本書はその改訂版となります。

K012/58
『英和対訳袖珍辞書』
『英和対訳袖珍辞書』画像

本書は、堀達之助らが中心となり、ピカ-ド編『新ポケット英蘭辞典』第2版 1857年のオランダ語の部に、日本語をあてはめたもので、文久2年(1862)に刊行されました。約33,000語を収録した我が国最初の洋装活版本です。

AG018
【葵文庫】
『Deutsches
Lese-und
Uebungsbuch』
(和訳:ドイツ語読本及び演習)
AG18画像

大学南校で作成されたテキストの1巻と3巻で、ドイツ語とローマ字読み日本語等が混在している読み物です。こちらも同校のドイツ語教本として使用されたと思われます。

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