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名著・貴重書/江戸幕府旧蔵の和漢書
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(2)漢籍 3

KO74-1
[葵文庫(江戸幕府旧蔵書)以外の貴重書]
駿河版『群書治要』(ぐんしょちよう) 50巻 47冊(内、4,12,20の各巻を欠く)

 駿河版とは、徳川家康が慶長12年(1607)駿府に隠棲してのち、開板事業に専念し、林道春 〜はやし どうしゅん 〜(羅山 〜らざん〜)、金地院崇伝(こんちいん すうでん)らを督して印行させた一連の銅活字本をいう。
 『群書治要』は元和2年(1616) 正月開板に着手、同年5月に完成した(4月17日、家康没)。
 完成後は『大蔵一覧集』並びに銅活字など印刷器具とともに城内に納められていたが、元和5年(1619)8月、頼宣(よりのぶ)が紀州に転封を命じられた際、和歌山に持ち去られた。
 当館所蔵の『群書治要』は、南葵文庫に保管されていたものを昭和3年12月、紀州徳川家の頼貞侯爵が寄贈されたもので、毎冊巻首右上に紀州徳川氏の旧蔵を示す「舊和歌山徳川氏蔵」(3.5 ×3.5cm)の朱印、右下には「南葵文庫」印が押され、毎冊巻末の余白に「紀伊徳川氏蔵板記」(5.1×3.5cm)の朱印がみえる。
 『群書治要』50巻は、唐の名臣魏徴(ぎちょう)が勅命を奉じて周易(しゅうえき)、尚書(しょうしょ)など多くの古典から政治の手本となる部分を抜すいして編纂したもので、日本の為政者にまで大きな影響を与えた。
 因みに、中国では栄代になって早くもこの書は散佚したため、日本で刊行された天明本(天明5年、1785版)3セットが長崎の唐館を経由して中国に逆輸入されている。

群書治要巻首(序)
 
群書治要巻末
群書治要巻首(序)
群書治要巻末

<参考文献>
    022.3-3 川瀬一馬『古活字版之研究』(安田文庫、1937)
    S222-52 「静岡市史」近世(静岡市役所編、1969-81)

 
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