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名著・貴重書/江戸幕府旧蔵の和漢書
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(1)和書 1

AJ21
林子平『精校海国兵談』 嘉永辛亥(4年)(1851年) 10巻10冊
印記:静岡学校、静岡師範学校、矢口氏所蔵記

巻之一の冒頭
 
長砲之図
巻之一の冒頭
長砲之図

 当館所蔵本は、嘉永4年(1851年)の再刻版である。
 林子平(1738-1793)はこの本で「窃(ひそか)ニ思フニ江戸日本橋ヨリ唐土及ヒ阿蘭陀(オランダ)迄モ境目ナキ水路ナリ」(巻之1、2丁)と唱えて、江戸湾に外国船が侵入する可能性があることを指摘し、江戸湾の防備の必要性を説いた。
 刊行は寛政3年(1791年)であった。しかし、老中松平定信(まつだいら さだのぶ)は、「世間に無用の不安をおこす」との理由でこの本の絶版を命じ、子平には蟄居を命じた。しかしわずか4か月後にはロシアからラックスマンが通商を求めて根室に来航し、子平の予見が現実のものとなった。
 寛政5年(1793年)、子平は没したが、天保12年(1841年)に罪を許された。これに伴いこの本の発禁も解除され、嘉永4年(1851年)に『精校海国兵談』として再刻された。

<参考文献>
    (081.5-ハ1-1) 山岸徳平ほか編『新編 林子平全集』第一書房 1978年

 
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