蕃書調所の旧蔵書には表紙の裏、タイトルペ−ジの隅などに干支を表した受け入れ印(長方形の小形黒印)が見られる。なかでも「丙辰」「丁巳」が多いことから、蕃書調所が開設された安政3年と翌4年に、大量の蔵書が移管・収集されたことが分かる。
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(オ) 各種受入れ印
AN15
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AN21
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AN8
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AN80
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AN17
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(3年)
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(4年)
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(6年)
2.5×1.0cm(黒)
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(7年=万延元年)
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(1年)
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(カ) 検閲印

「安政戊午」
印(朱)
(2.3×2.3cm)
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「長崎東衙官許」
印(朱)
(3.7×2.4cm)
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AN39
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「基礎自然科学第一歩」ブルグ著
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安政5年(1858)、長崎からの輸入書(蘭書が主)には必ず「長崎東衙官許」(ながさきとうがかんきょ)という蕃書改済調印(検閲印)と、安政5年を示す「安政戊午」(つちのえうま)の干支印(いずれも朱印)を押すべきことが定められたが(国立国会図書館所蔵・旧幕府引継書中の「市中取締続類集書籍之部四ノ中」)、(カ)<AN39>はその好例である。また蕃書調所が安政己未〜つちのえひつじ〜(6年)に収蔵した蘭書にも、「蕃書調所」印とともに「長崎東衙官許」印が押されている。
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<参考文献>
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朝倉治彦・石山洋「蕃書調所旧蔵蘭書箚記」(Z01-11「上野図書館紀要」第一冊)
082-154「江戸幕府旧蔵洋書目録」(蘭学資料研究会・1957年)
402.1-22「洋書ことはじめ展〜蘭学の諸系列と江戸幕府旧蔵本〜」(蘭学資料研究会編・1954年)
372.1-265-1「幕末教育史の研究」全3冊(倉沢剛、吉川弘文館)第1冊「蕃書調所」の項 |
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