(1)法律書 10
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[明治初期翻訳書] |
322.9-115
箕作麟祥訳
『仏蘭西法律書』(フランス法律書)上・下
印書局印行 明治9年(1876年)官許 洋装本2冊
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下巻のタイトルページ
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箕作麟祥(みつくり りんしょう)(1846-97)は、幕末の代表的な蘭学者箕作阮甫(みつくり げんぽ)の孫である。彼にフランス法の全典の翻訳を命じたのは、後に司法卿となった江藤新平であったらしい。江藤はこの時、「誤訳も妨げず、唯速訳せよ」と命じたといわれる。そこで箕作は、和装木板40冊を完成させた。この仕事は想像を絶する苦心の連続で、彼は「註解書もなければ、字引もなく、教師もいなく、間違いだらけの本であった」と述懐している。この翻訳の台本とされたのは、1868年版のロワイエ・コラール(Royer-Collard)編纂の“Les Codes francais”であろうといわれている(1) 。
ところで、フランス法典が40冊もの分冊本では不便であることから、その後、洋装活版の2冊本が『仏蘭西法律書』として出版された。当館所蔵のこの本もそのひとつである。
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<参考文献>
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(1) 野田良之「明治初年におけるフランス法の研究」(『日仏法学』1号 1961 年)p.36.
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