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名著・貴重書/幕末のオランダ留学生による翻訳書
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(4)[幕末のオランダ留学生による翻訳書] 2

KO84-11
津田真一郎訳[フィッセリング口述]
『泰西国法論』(たいせいこくほうろん)
江戸開成所  慶応戊辰新刻(慶応4年)(1868年)4巻4冊

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 津田真道(真一郎)も西周とともに慶喜に呼ばれて京都に滞在していた。しかし、西より先に江戸に帰されて、引き続き開成所に勤務したので、訳文に十分な推敲を加えることができた。彼は『泰西国法論』を開成所から出版した。「泰西」とはヨーロッパ諸国のことである。
 彼はこの本で三権分立の制度やヨーロッパの憲法を説明している。幕末期、ヨーロッパの議会制度や憲法は、中国の漢文による世界地理書などによって紹介されてきたが、『泰西国法論』の内容はヨーロッパ直輸入のものであった(1) 。またこの本は、従来の儒教的法思想とは全く異なったヨーロッパ近代の自由主義、功利主義を紹介している。これは当時、革命的な新思想であった(2) 。

<参考文献>
    (1)(216-210) 大久保利謙『幕末維新の洋学』吉川弘文館 1986年 p.148.
    (2)前掲『幕末維新の洋楽』 p.116.
    ※なお、西周は沼津兵学校の頭取を、津田真道は静岡学問所の学問頭を勤めている。

 
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