図書館員の棚から3冊(第124回)(2018/12/21)

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図書館員の棚から3冊(第124回)(2018/12/21)


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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第124回目は 富士宮市立中央図書館 遠藤 彩花 さん です。

 
1 『本日は大安なり』 
  (辻村 深月/著 角川書店 2011年


 物語の舞台となる結婚式場「ホテル・アールマティ」ではある日、4組の結婚式が挙げられる予定です。式場には列席者やスタッフなどさまざまな人が集まりますが、この日は複雑な事情を抱えた人たちばかり。中でもある新郎には、「式場に放火してでも結婚式を中止したい!」と思うほどの重大な秘密がありました。幸せなはずの1日はどうなってしまうのか、それぞれの式にかかわる4人の人物の視点を交互に入れ替えつつストーリーが進行します。
 学生時代から辻村深月さんの作品が好きで、クライマックスに一気に真相が明らかになるのが楽しくて仕方ありませんでした。読み終えた後に、答え合わせでもう一度読み返したくなってしまいます。 
                                                         

2 『アーサー王の世界 1 大魔法師マーリンと王の誕生』 
  (斉藤 洋/作 静山社 2016 年


 子どもの頃、剣と魔法の王道ファンタジーは『ハリー・ポッター』くらいしか読んでいませんでしたが、最近は神話や伝説をモチーフにしたものを見かけるようになりました。そういえば元の話をよく知らないなと思い、新刊コーナーから手に取ったのがこの本です。
 『ルドルフとイッパイアッテナ』で知られる斉藤洋さんが再構成したアーサー王伝説シリーズ1巻目となるのが「大魔法師マーリンと王の誕生」です。
 アーサー王伝説の有名なエピソードといえばアーサーが生まれた後のものがほとんどですが、この1巻でアーサー王が登場するのは、なんと残り10ページになってから。ブリテンを統べる王が生まれるよりも昔、のちの王を導く魔法師マーリンの誕生から始まる、新しい視点の物語。最新4巻が出版されたばかりの、続きが楽しみなシリーズです。


3 『魔法使いの嫁』 
  (ヤマザキ コレ/著 マッグガーデン 2014 年


 人と人ではないものとの結婚を描く「異類婚姻譚」というジャンルをご存知でしょうか。このマンガも“妖精が見える人間の少女”と“人でも妖精でもない魔法使い”の異類婚姻譚をテーマにしたもので、イラストに惹かれて読み始めた作品です。
 主人公のチセは、「人には見えないもの」が見えるせいで天涯孤独になってしまった15歳の少女。ある事情で魔法使いのエリアスにお金で買い取られたのですが、彼の目的はチセを「魔法使いの弟子」兼「お嫁さん」にすることだった!という驚きのあらすじです。
 主役の二人には、「周囲とは違う存在だったから、その世界で普通に生きられなかった」という共通点があります。孤独だった二人が互いを知り、世界を知ることで居場所を見つけていく物語になっています。イギリスの情景や、登場する妖精たちがとても魅力的で、ファンタジーが好きな人におすすめしたい作品です。
 

 次回は 菊川市立図書館菊川文庫 市川 絢乃 さん です。

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