図書館員の棚から3冊(第122回)(2018/11/23)

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図書館員の棚から3冊(第122回)(2018/11/23)


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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第122回目は 沼津市立図書館 細倉 民世 さん です。■

 
1 『白夜』 
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ドストエフスキー/著 小沼 文彦/訳 角川書店 1958

 私がこの本を手にしたのは、もう20年近く前、はじめての海外旅行でロシアに行くと決めたときのことでした。
 タイトルである「白夜」という言葉に引かれ、また、これからその「白夜」を体験できると思い、ペテルブルグ行きのアエロフロート機内で読んだのが最初です。
 美しい色白の女性が表紙に描かれ、てっきり素敵な恋愛小説かと思っていましたが、まるで異なり、ある夢想家の男性主人公が、17歳の女性(ナースチェンカ)に恋をするものの、最終的にはその女性は別の男性とお付き合いしていたのか、あっけなく別れが訪れるというなんともスッキリとしないお話でした。
 現地では、市街を流れる「フォンタンカ川」や「ネヴァ川」など、本に登場した地名がいっぱい。幸いにして、夜(まさに白夜)、街の中心部からヴァシリエフスキー島内にある宿泊ホテルへと数時間かけて歩いて向かう機会があり、主人公と同じような体験ができ嬉しかったのを覚えています。
 旅行に出掛ける際には、そこの地(国)に関連した本を読んでいくようになったきっかけにもなった本でした。                                                           

2 『銀河鉄道999』 
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松本 零士/著 少年画報社 1994

 主人公である「星野鉄郎」は、機械人間により、大切な母を銃で撃ち殺されてしまうところから物語は始まります。そして、いつか、自分も生身の体を捨て同じ機械人間となって、復讐するために、永遠の命を求めてメーテルと共に旅立ちます。しかし、行く先々で、様々な人間(生命体)と出会い、色々な経験をしていく中で、「永遠の命を持つ」ことに対し疑問が生じます。
 旅の最後(終着駅)に、彼は「限られた命を、精一杯生きる」ということが、いかに重要で大切であるかを悟るのです。
 途中の停車駅での出来事や、同乗者としてメーテルや車掌さんとの道中も楽しみながら読む事ができます。もちろん、鉄道好きの人にも楽しんでもらえる本だと思います。                                   

3 『フェルメール全点踏破の旅』 
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朽木 ゆり子/著 集英社 2006

 現在、上野の森美術館で「フェルメール展」が盛況に開催されています。この本は、世界に30数点しか現存しないフェルメール作品全てを、3週間弱という短期間で鑑賞しようという企画から出発したもので、ファンには良く知られているかと思います。
 発売されたのは2006年で、現在と若干状況が変わっている箇所もありますが、旅行行程、絵画の分析や、それぞれの絵画作品に纏わる話など、今読んでも十分楽しむことができますし、これからフェルメール巡礼に旅立つ予定の方には参考になるかと思います。
 私自身、鑑賞可能な作品は全て鑑賞し終えていますが、盗難中である『合奏』を見ておりません。その絵画が発見され、私をボストンへと足を運ばせてくれる日は来るのでしょうか。


次回は 富士市立図書館 古谷 浩子 さん 宮本 桃代 さん 水谷 浩子 さん です。

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