図書館員の棚から3冊(第116回)(2018/08/24)

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図書館員の棚から3冊(第116回)(2018/08/24)


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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第116回目は 湖西市立図書館 兵藤 友美 さん 金原 宥貴 さん 鈴木 舞 さん です。


1 『ノラネコの研究』 
  (伊沢 雅子/文 平出 衛/絵 福音館書店 1994年

 ノラネコのナオスケを観察した様子が描かれた1冊。学校へのブックトークの題材に「ねこ」を選んだことをきっかけにこの本を手に取りました。
 著者の伊澤さんは、ネコ科動物の生態を研究している哺乳類学者。実際に24時間ノラネコを追いかけて、ネコがどのように1日を過ごしていたかを詳しく解説しています。「@離れたところからA静かにB下から観察する」などのネコを観察する時のポイントや、「すれ違うノラネコ同士は目を合わせない」などのネコ社会のルールを知ることができます。
 ブックトークでは、大きく時間表を作ってネコの一日を紹介しました。ネコが1日に合計18時間以上も寝ていることを紹介すると子どもたちはとても驚いていました。
 住んでいる場所に合わせて少しずつ違ったくらし方をしているノラネコの自然のままの姿が魅力的で確かな描写とともに紹介されています。ネコの生態を知りたい時に気軽に読める1冊です。
                                         (兵藤 友美)                                                               

2 『えんにち』 
  (五十嵐 豊子/さく 福音館書店 1973年

 あ、この本…。」カウンターで返却本の中身確認作業をしていた時のこと。遠い日の記憶がふっと蘇り、思わず手が止まりました。幾度目にしたかわからないこの表紙。私が幼い頃、数え切れないほど読んだお気に入りの本でした。
 とある縁日の日。昼間から露店が組み立てられ、日が暮れるにつれて徐々に多くの人で賑わいを見せてきます。その様子を色鮮やかな絵のみで描いているこの本は、毎年近所で露店が立ち並ぶ縁日を心待ちにしていた私をいつでも縁日の世界に連れて行ってくれるものでした。おこづかいで買ったのでしょう、いか焼きを頬張りながら他の露店をのぞいている少年、何やら声を掛けながら売り物の金魚を網ですくっている店主の姿。何かが焦げたような、でも食欲をそそる香ばしいにおい、うっすらと聞こえる蝉の声、今年初めて袖を通した浴衣にじんわりとかいた汗がまとわりつく感触まで、この縁日独特の胸が高鳴るような雰囲気すべてが、そこに文字がなくとも確実に読者のもとへ伝わってきます。幼い頃の私と同じように、ページをめくりながら縁日を疑似体験した仲間がここにいたのだと嬉しくなりました。
 今では見かけなくなった露店もいくつかありますが、本を通して感動を共有することができるのはいつでも変わらない。そんな本の素敵なところを、改めて教えてくれた大切な作品です。
                                         (金原 宥貴)

3 『ももいろのきりん』 
  (中川 李枝子/さく   中川 宗弥/え 福音館書店 1976年
 

 この本は、私が幼稚園の年長組のときに出会った本です。
 物語は主人公のるるこちゃんが、お母さんからもらった不思議な大きいももいろの紙できりんのキリカを作るところから始まります。
 キリカは世界一首が長くて、強くて、足が速くて、綺麗なももいろのきりんです。るるこちゃんが大胆にももいろの紙を使ってキリカを作っていく様子はワクワクします。紙でできているけれど、キリカは走ることや話すこともできて、るるこちゃんが乗ってもびくともしません。でもやっぱり水には弱くて、雨に降られてキリカの綺麗なももいろは褪せてしまいます。るるこちゃんとキリカはどうするのでしょうか・・・?
 この物語には「ももいろのきりん」のキリカの他にもたくさんの動物が登場します。そらいろのウサギやレモン色のさる、赤いへび、オレンジ色のくま・・・。カラフルな世界が広がります。次にどんな色の動物が出てくるか予想しながら読むのも楽しいです。また、描いたものが現実となる魔法の紙が登場し、るるこちゃんが描く素敵な絵に心が温まります。自分なら何を描くか想像したり、実際に画用紙に絵を描いたりするのもおすすめです。私も子どもの頃、本当になったら良いなと思うものをたくさん描いて楽しみました。
 児童書ですが挿絵が多くて読みやすく、想像や夢がふくらむ素敵な本です。
                                           (鈴木 舞)

 次回は 南伊豆町立図書館 石井 祐子 さん 吉村 精一郎 さん 長谷川 留美 さん です。

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