図書館員の棚から3冊(第108回)(2018/04/27)

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図書館員の棚から3冊(第108回)(2018/04/27)


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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第108回目は 静岡県立中央図書館 杉田雄祐 さん です。■


1 『ルドルフとイッパイアッテナ』 
  (斎藤 洋/作 杉浦 範茂/絵 講談社 1987年) 

 私がこの本と出合ったのは小学生の中学年のころです。当時の私は読書とは無縁の生活を送っていました。そんな私に見かねたのか、当時クラス担任だった先生が面白い本があるから頑張って読んでみて!と手渡してくれたのがこの本でした。
 飼い主の愛情をたくさん受けて幸せな生活を送っていた黒猫のルドルフが、ひょんなことから長距離トラックに迷い込んでしまい、東京にたどり着いてしまいます。そこで出会ったのが、街で恐れられていた野良猫のボスです。「俺の名前はいっぱいあってな」ルドルフは勘違いでボス猫の名前がイッパイアッテナだと勘違いをしてしまいます。そして、ルドルフはイッパイアッテナから様々なことを学び、大都会での様々な出会いや苦難を通して大きく成長していくといったストーリーです。
 読み始めたうちはなかなかページも進みませんでしたが、そのストーリーにのめり込み、終わってみればあっという間に読み終えてしまっていたことを思い出します。先日、小学校に通う息子が、学校図書室からこの本を借りてきました。最近では映画化もされ、時代を超えて愛されていることをうれしく思いました。思い出の1冊です。


2 『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』 
  (長谷部 誠/著 幻冬舎 2011年) 
 
 私の住む藤枝市出身のサッカー選手、長谷部誠さんの著書です。メンタルトレーニングというように「心を鍛える」とはよくいいますが、この本では、「心は鍛えるものではなく、整えるもの。いかなる時も安定した心を備えることが、常に力と結果を出せる秘訣だ。」と述べられています。
 この作品の読者の多くはサッカーが好きであったり、長谷部誠さんのファンであったり、何かしらサッカーに縁のある人が手に取ることが多いのかもしれません。しかし、この作品に出てくる56の習慣はスポーツのみならず日常生活から仕事等、様々なシーンで目標をもち頑張っている人にとって刺激となる内容だと思います。
 すべてを実践することは難しいですが、共感できることも多くあり明日から取り入れて生活を送ってみようかな!そんな風に思わせられる1冊です。


3 『25年目の「ただいま」』 
  (サルー・ブライアリー/著 船山 むつみ/訳 静山社 2015年) 

 
 映画を見て、原作が気になって手に取った1冊です。
 インドの西部で生まれ母親、兄と三人家族で過ごしていた5歳の少年が長距離回送列車に迷い込んでしまい、遠く離れた大都市へたどり着いてしまいます。道行く人に生まれた地名を聞いて回るが言葉が通じずに街をさまようこととなってしまいます。その後、孤児院に収容され生活を送る事になりますが、オーストラリアの夫婦のもとに養子として迎えられることとなりました。そして、オーストラリアでの生活も20年が経過したころ、ひょんなことからインドの故郷の記憶を呼び起こします。ここから彼の故郷探しが始まります。その手段が驚きです。子供の頃のかすかな記憶を頼りに、Google Earthで故郷を探すというものでした。果たして彼の故郷探しはどうなるのか!?
 この物語は実際にあった事実に基づいている、ノンフィクションであるというのですから驚きです。世界を舞台に壮大な迷子となる物語の結末を是非ご自身でお確かめください。


 次回は 静岡県立中央図書館 小松純代 さん です。

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