図書館員の棚から3冊(第104回)(2018/02/23)

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図書館員の棚から3冊(第104回)(2018/02/23)


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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第104回目は 三島市立図書館の 佐野 裕美 さん です。■

 最近、図書館の在り方を考えるキーワードのひとつとして、「まちづくりと図書館」という言葉をよく耳にするようになりました。子どもの頃からボランティア活動を通して「まちづくり」をライフワークとしてきた私にとって、「生業としている図書館の仕事とリンクする日が来るとは!」と、感無量です。このような活動をしておりますと、街の在り方について真剣に考えていらっしゃる方にたくさんお会いします。温かい言葉をいただくことが多いのですが、安易に「まちおこし」という言葉を使った私に「本当に『おこす』必要がありますか?」と優しく質された方のことは、今でも忘れられません。そこにあるものを自然に受け止め、次世代に繋いでいく。司書の心得そのままに、これからも「街」と関わっていきたいと思います。

 私的な振り返りになってしまい恐縮ですが、まちづくりに関する本を3冊ご紹介したいと思います。


1 『まちづくりの発想』岩波新書 
    (田村明/著 岩波書店 1987年)

 縁あって、若い頃、横浜の街に何度も足を運びました。当時、横浜市役所に勤務していた先達が勉強する場を提供してくださり、それまでお目にかかったことのないような素晴らしい方々との出会いは、本当に夢のようでした。たくさんのことを教えていただきましたが、その中でこちらの本の著者である田村明さんのことも教えていただきました。

 田村さんは「まちづくり」という言葉を日本で使い出した人と言われています。その田村さんの『まちづくりの発想』は、すべてのまちづくりに関わる人に読んでいただきたい1冊です。公務員にはなおさらのことです。続編に、同じく岩波新書の『まちづくりの実践』がありますので、一緒に読むことをオススメします。

 さらに都市経済学に興味を持っていただけましたら、ジェイン・ジェイコブスの『発展する地域衰退する地域 地域が自立するための経済学』(筑摩書房刊)も併せてご一読ください。



2 『サードプレイス コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』
   (レイ・オルデンバーグ/[著]  忠平美幸/訳  みすず書房  2013年) 

 アメリカで発表されて以来、日本でコミュニティ形成に関わる人々の間でもずっと話題になっていました。長い間邦訳が待たれており、みすず書房から出版されると聞いた時には安堵のため息をつきましたが、実際に手にしてみてその厚さに別のため息が出ました。

 図書館界に何かと話題を振りまくスターバックスも、元はこの著書を参考に店舗計画を立てていると聞きます。今、社会は何を求めているのかを考える時にとても参考になる1冊です。



3 『ぼくのまちをつくろう!』
    (スギヤマカナヨ/作・絵  理論社  2015年)

    
 三島市出身の絵本作家、スギヤマカナヨさんの手による1冊です。

 積極的にワークショップを開催してくださり、子どもたちにも大人気のカナヨさん。最近では、ブックスタートの解説書なども手掛けておられ、子どもの本に関わる人たちの間ではすっかりおなじみなのではないでしょうか。

 こちらの本は、子どもがまちづくりを自分のこととして考えるきっかけにぴったりの1冊です。実際に三島市ではイベントの時に活用させていただきました。まさに本は読むだけでなく使うもの!です。


 次回は 浜松市立都田図書館の 中野 美紀 さん、松原 史織 さん、田中 咲子 さん です。

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