図書館員の棚から3冊(第97回)(2017/11/10)

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図書館員の棚から3冊(第97回)(2017/11/10)

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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第97回目は 熱海市立図書館の 望月則孝 さん、井上将来さん、矢田沙織さん です。■

 
1 『「パパのしごとはわるものです』  
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板橋 雅弘/作 吉田 尚令/絵 岩崎書店 2011年

  学校の宿題「おとうさんのしごと」を調べるためにパパの運転する車にこっそり乗って行き、着いたのは大きな体育館。目の前に正義のヒーローと悪役覆面レスラーがいるが、パパの居場所が分からない。試合が始まり、悪役覆面レスラーは、反則ぎりぎりの攻撃を繰り返す。そんな闘い方に頭にきたぼくは、パパがいつも叱る時の言葉「悪いことばかりしてると、立派な大人になれないんだぞ」と叫んでいた。

  マスクの中の目が驚いていた。パパが悪役覆面レスラーだったのだ。その一瞬の隙を突かれ、パパは負けてしまった。ぼくは悔しい。どうして覆面をかぶって悪いことをしているの?正義の味方に負けてしまったの?そんな悔しがるぼくに、パパは「みんなのためにパパは頑張って悪いことをしている。」と胸を張って答える。

  人から嫌われたり、人がやりたがらない仕事を「みんなのために」進んで誇りを持ってやっているパパの姿がかっこよく映った。

 どんな仕事であっても、生活するために毎日親は一生懸命働いている。
 お子さんと親(ご自分)の仕事について話すときの読み聞かせの絵本として、親の仕事に興味を持ち始める年齢に達したお子さん自身が読む絵本として、是非お勧めしたい。


2 『図解 世界史で学べ!地政学
    (茂木 誠/編著 祥伝社 2017年) 

 「地政学」という学問を知っていますか?これは19世紀のドイツで始まった学問で、国家の地理的な条件(島国である。内陸国である。国境に大きな山脈や河川がある。など)から、国際情勢を考える学問です。

 本書は、世界の国々のたどってきた歴史や行動原理を、地政学の観点から説明しています。アメリカを「巨大な島」、ヨーロッパを「巨大な半島」として考えるなど、普段わたしたちが考えるのとはまた違った視点での考察をしている点も面白いです。

 それに加え、アフガニスタンやクリミア半島の問題など今日の国際問題について地政学を用いて読み解き、それを世界史の流れで説明しています。
 先の見えない国際情勢について改めて知るために、また、今後の流れを考えるヒントにしていただける一冊です。



3 『おかえりなさい待っていたよ』
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浅見帆帆子/著 PHP研究所 2005年
    

 毎日が変わらなくてつまらない。そんな少し気持ちを休ませたいときにぴったりの一冊です。 絵本というと子どもの読むものと思われがちですが、この本は変わらない日々に疲れてしまった大人に向けたメッセージが込められています。

 「ある日、家に帰ると・・・ ブタがいた・・・」絶対に現実ではありえない一文から始まるこの絵本は、ダイジョーブタという名前のブタと普通の女の子フー子の物語です。最初はブタになんかと心を開かないフー子ですが、ある日会社での失敗を話したことでフー子にとってのダイジョーブタの存在が変わっていきます。

 自分の話を聞いてくれる人がいることの幸せを改めて感じることのできる『おかえりなさい待っていたよ』。ぜひ読んでみてください。


 次回は 島田市立図書館の 岩本申久さん、横山佳世さん、尾川悠さん です。


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