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■第93回目は 東伊豆町立図書館 島田 友也 さん です。■1 『フィンランド豊かさのメソッド』(堀内 都喜子/著 集英社新書 2008年) フィンランドはヨーロッパの中ではあまり目立ちませんが、学力は世界トップクラスです。この高い学力に貢献しているのが、「読書」です。フィンランド人は、老若男女問わず読書好きで、多くの人が図書館に足を運んで本を借りています。フィンランドの教育省発表(2005年)によると、1人が1年に借りる本は平均20冊にもなるそうです。また、小学生のおよそ22パーセントが毎日1時間以上読書しているという報告もあります。こうした日常的な読書習慣が、学力調査での読解力の高さに繋がっているとされています。 読書以外でも、充実した教育システムや社会保障制度が整っているのもフィンランドの特徴です。読書が国の発展に寄与する一つの要因になっていると改めて考えさせられる作品です。 2 『声に出して読みたい日本語』 (齋藤 孝/著 草思社 2001年) 『平家物語』の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。…」や『枕草子』の「春はあけぼの。やうやうしろくなり行く、山ぎは…」は、私が学生時代に何度も口ずさんで覚えた文章の一節です。しかし、最近の学校では、古典作品の冒頭を暗記することが少ないようです。著者は、学校で暗誦や朗誦する機会が減って、解釈に多くの時間が割かれていることを危惧し、子どもの頃から名文に触れ、覚えて身体に染み込ませることが人生に膨大なプラスの効果を与えると指摘しています。確かに普段の何気ないやり取りの中で、ふと有名な作品や和歌の一節が出てくると会話も豊かになります。 本書では古文、漢詩、小説や早口言葉に至るまで幅広く名場面を紹介しています。古典作品には口語要約もついているため、気軽に目を通すことができます。 3 『The Japanese Economy日本の経済』 (小林 佳代/著、ジャイルズ・マリー/訳 IBCパブリッシング 2005年) 日本経済の歴史、構造や現状と課題などがわかりやすい英語で書かれています。終身雇用、年功序列、株式持ち合い、メインバンクシステムやトヨタのカイゼンとカンバン方式など日本独自の管理システムについても説明されています。また、戦後、官僚が主導して日本を発展させてきた経緯、さらに小泉改革やニートの解説なども出てきます。 日本国内の出来事に対する記述が多いので、英語で書いてあっても理解しやすいと思います。新聞やニュースで聞き慣れた日本経済を英語で読むことができるのは結構楽しいですし、巻末にワードリストが付属しているため、辞書なしでどこでも読書ができます。 次回は 袋井市立袋井図書館 鈴木 あかね さん です。 |