図書館員の棚から3冊(第92回)(2017/08/25)

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図書館員の棚から3冊(第92回)(2017/08/25)

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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第92回目は 静岡市立中央図書館 朝賀 皓一郎 さん です。■

 どんなに熱中して読んだ本であっても、数ヶ月経てばその内容のほとんどは覚えていないことが多いです。それでも、やはり心に響いた本は忘れることができません。その本と出会ったきっかけ、当時の自分の境遇、読後の感想…。

 今回は「心に響いた3冊」をテーマに、社会人となって読んだ本の中から、特に記憶に残っている本を紹介します。



1
 『3月のライオン』    
    (羽海野チカ/著 白水社 2008年〜)

 17歳のプロ将棋士。事故で家族を失って深い傷を負っている。東京の下町で一人暮らし。そんな主人公桐山零の前に、あかり・ひなた・モモの3姉妹が現れる。

 孤独だった少年が、彼女たちと出会ったことで変わっていく。そして、またその周りの人間も失っていた何かを取り戻していく。人の温かさを感じられる物語。

 まず、私が主張したいのは、この作品は将棋が分からなくても楽しめる「人間ドラマ」ということです。物語が進むにつれて各登場人物にスポットがあてられ、それぞれの生き様が描かれています。彼ら一人ひとりが抱く心の中の想いが痛いほど分かり、どこか自分の人生に重なって共感できることでしょう。

 イラストも可愛らしく、とても癒されるシーンが満載です。最近ちょっと疲れたなと感じる人におすすめの漫画です。


2 『週刊 奇跡の絶景』
    (白江亜古、田澤健一郎、野口武/著 講談社  
    2016年11月〜2017年8月15日第40号で休刊) 

 人生で初めて定期購読した雑誌です。休日に書店で創刊号のウユニ塩湖の表紙を見て、そのあまりの清々しさに目を奪われて思わず購入しました。いつかここを訪れ、見た人が感動する写真を撮ってみたい。そう思いながら、一眼レフを片手に購読しています。

 「この世にはこんなにも美しい景色があるのか!」と思うほどの絶景を、一流のカメラマンが撮った大判写真で一望できます。また絶景写真のみならず、オススメの現地の回り方、絶景周辺の地図、絶景がうまれたメカニズムや歴史、撮影のポイント、現地の人々や生活についても分かりやすく解説されています。取り上げられる絶景は、日本を含むあらゆる国のものであり、1冊読むだけでその国や地域の特色を知ることができます。

  イラストや写真が豊富なレイアウトとなっているため、文字を読む事が苦手な人にこそ手に取ってもらいたい雑誌です。



3 『僕は自分が見たことしか信じない』文庫改訂版
    (内田篤人/著 幻冬舎 2013年)
    

 これは私にとっての人生のバイブルとなる本です。ある日、ある著名人の人生を追ったドキュメンタリー番組を見ていた父から、「『人の生き方』を学ぶことは、何よりもためになる。」と言われました。特に興味もなかった人だったため、その時は聞き流していました。

 後日、ネットニュースで、サッカーの内田篤人選手が怪我で離脱してから1年9ヶ月ぶりの復帰を伝える記事を見つけました。「サッカー」、「静岡出身」という自分との共通点がある彼に興味を持った私は、本を探してみることにしました。そして出会ったこの本には、サッカーを通じた彼の「生き方」が記されていました。

 特に、「男らしく生きたい−内田篤人の人生訓22−」という章では、彼のポリシーが簡潔に書かれています。「素の自分を隠さない」、「自分の言葉で話す」。自分の在り方に迷っていた時期だったこともあり、端的に書かれたこうした言葉は、私の琴線に触れました。そこで初めて、前に父が言っていたことの意味が分かった気がしました。今でも、悩んだ時に背中を押してくれる大切な一冊です。

  内容の大半は、内田篤人というサッカー選手の生涯を明かすものであるため、内田篤人ファンやサッカー好きに是非読んでもらいたいエッセイ本です。



 次回は 東伊豆町立図書館 島田 友也 さん です。


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