江戸後期・明治初期の歴史/資料解説
葵文庫

 

Q290-4
[「新訂万国全図」高橋景保作文化7年(1810)刊 銅版筆彩 114×195cm]

 文化4年、高橋景保(たかはしかげやす)は幕府から世界図の製作を命じられ、1780年製のイギリス、アロースミスの世界図を原図として、天文学者の間重富(はざましげとみ)の調査や、語学の天才とうたわれた馬場佐十郎の翻訳による世界地理書を参考に完成した世界図である。手描きの図と亜欧堂田善の銅版図とがある。

 折しも間宮林蔵の測量結果を直ちに採用し、カラフトの正しい姿を世界で初めて地図上にあらわし世界地図史上において意義ある内容となった。また、この図は日本が世界地図上で中心となるように、これまでの東西半球図を入れ替えてあり、副図に京都中心の図を描くなど、日本を世界に強く意識した最初の世界図でもある。地名・地形等幕末・明治の世界図の基本になった。

<参考文献>

    「高橋景保の新訂万国全図について」 赤羽壮造 (Z21-1 『日本歴史』 131,132号 1959年5月、6月号)
    290.1-162「鎖国時代の世界地理学」 鮎沢信太郎 1980年 原書房
    左上4/1右上左下右下

全体図
 
カラフトを含めた日本部分の拡大
全体図
カラフトを含めた
日本部分の拡大

左上4/1
右上4/1
左下4/1
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