江戸後期・明治初期の歴史/資料解説
葵文庫

 

Q215-70
[わすれ筐(がたみ)<和寿礼加多美>(写本)]

 天保十年(1839)高野長英が未決の獄中にあって、獄中の状況、同志の心情などを記し、さらには自らの無実を訴えたもので、「高野長英全集」第4巻には「鳥の鳴音」(とりのなくね)という名で収められている。

 佐藤昌介氏によれば、この伝写本は極めて乏しく、氏が知り得たのは当館の久能文庫本だけだという。佐藤昌介 校注「華山・長英論集」(岩波文庫)所収の「わすれがたみ」は、当館の久能文庫本を底本とし、ほかに全集本を参照していることが同氏の解題から知られる。ただ、久能文庫本「和寿礼加多美」と全集本「鳥の鳴音」とは、字句にかなりの異同があるという。

 また、「日本思想大系」55巻(岩波書店)に収められている佐藤昌介校注「わすれがたみ(別名 鳥の鳴音)」も、当館の久能文庫本を底本としていることが、同書の凡例から知ることが出来る。

表紙
 
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<参考文献>

215-171 佐藤昌介校注「華山・長英論集」(岩波文庫)の「わすれがたみ(別名
鳥の鳴音)」の解題
121・08-110 「日本思想大系」55巻の凡例ほか